2004年 08月 12日
【詩】『電機屋』
近くの電機屋に行ってみると
そこには花のように咲いていた扇風機が
跡形もなく消えていた
プロペラの花はどこへ行った
おびたゞしい数のテレビやディスプレイは
ちゃんとその場にあったのに
エアコンに会うために来たのに扇風機が気にかゝる
隅っこで固まる洗濯機のコーラス
背くらべに飽きたらぬ冷蔵庫のシュプレヒコール
そしてマッサージチェアから這い出られない人々
花が無くなった電機屋の粗暴な風景は
21世紀消費絶対主義を賞賛しながら
午後9時の閉店まで幻想社会を築き続けていた
by fibich
| 2004-08-12 22:20
| 詩