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幻想と日常 ~La Fantazio kaj la Kvotidiano

遍路日記2007(48)

8月10日(十日目)八十六番志度寺、八十七番長尾寺

この日が実質最終日。11日の朝に徳島を出発するフェリーを押さえてあったのでこの一日で残りが打てれば結願である。そして残りは僅か3ヵ寺まで来ていた。初日が半日、その翌日も台風で半日取られながら最終日には残り3つまでこぎ着けられたのだから、途中かなりの強行軍だったのがわかると思う。いや、実際大変だった。一日に10以上も寺を打つのはなかなかゆるいものではない。

そんなわけでホテルのチェックアウトもゆっくりで問題ない。実際大いに寝坊し、朝食もしっかりとホテルでとってからの出発だ。出発は9時半過ぎくらいだった。この高松観光ホテルはこれまで宿泊したビジネスホテルとはちょっとクラスも違ってホテルスタッフも非常に親切だったし、広いロビーに広い部屋と遍路の身分でありながらとても贅沢をさせてもらったような気もする。

ホテルの前にある観光通を右に進み牟岐方面へ行けば次の志度寺の方向なのだが、ここは左に曲がって高松市内へと向かう。香川県庁裏手に今最も口コミで人気になっていたうどん屋へと向かった。香川に来たらやっぱりうどんも食べたくなった。

店の名は「さか枝」。典型的なセルフの店だ。あまりにセルフ過ぎるとまだあまり勝手がわからないのだがとにかくうどんの量を決めトッピングを追加させると出汁は自分でかけることになっている。ちくわ天といなり寿司を別に頼んでも400円くらいの値段だったと思う。評判の店だけあってさすがに美味しかったのだが、なんだかちょっとだけ物足りなさも感じた。それはきっと前回の「山越」のように多少苦労してやっとありつけたという達成感が無かったからなのではないだろうか。お店の小母さんたちも僕が横浜から来た事を知るととても親切に声をかけてくれた。

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香川県庁すぐにあるうどん屋「さか枝」


再び観光通に戻り今度は牟礼方面へ向かう。観光通を直進し八栗口まで出るとそこで国道11号線に合流する。そしてさらに国道を東へ向かうと右手にJRの志度駅が見えてくるので志度駅前を左折。左折したすぐ先に琴電志度駅がある。さらに直進すると道が右に曲がり海沿いを走る。しばらく海沿いを走ると案内標識があるのでそれに従えば志度寺はすぐである。

山門前にバイクを駐めて境内に入る。志度寺はわりと広い寺で境内の作りはちょっと八十番の国分寺にも似ている。山門から真っ直ぐ進んでしばらく歩くと左手に本堂がある。本堂と方丈(納経所)は繋がっていて、本堂の左側には大師堂もある。この寺の本尊は十一面観世音菩薩。他の寺ほど目立たないが五重塔もあり、これは山門をくぐってすぐ左側にあるので見落としがち。境内は木々も茂りクマゼミの鳴き声ばかりが響き渡っていた。今日も一日晴れ、灼熱地獄なのだろう。

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八十六番札所志度寺


ちなみに去年はこの寺の納経所のテレビで東京大停電のニュースを見た。正月に四国に来たときにもこの寺にはお詣りに来ている。些か時間にもゆとりがあるためゆっくりとお詣りして境内を散策する。

こうしてお詣りを終え御朱印をいただき寺を後にしたのが11時くらい。次は同じさぬき市にありながらも町外れにある八十七番長尾寺へと向かう。

志度寺から長尾寺までの距離は約7.5キロほど。志度から県道3号線を南下すれば迷うことなく着くだろう。この長尾寺にも鉄道が通っているのだがバイクで遍路をするとそんなものは見ることもない。また志度から長尾までは一度高松まで出ないと行けない(琴電に乗った場合)

この長尾寺もお気に入りの一つなのだが、今年は改装工事を派手にしていてぜんぜん風情も何もない。バイクは境内に乗り入れることができたので山門裏に駐めた。正面には本堂、その右隣に大師堂がある。本尊は聖観世音菩薩。

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八十七番札所長尾寺




この寺には山頭火もいくつか句を残している。「分け入っても分け入っても山の中。」「暮れても宿がないもずが鳴く。」「カラスないてわたしもひとり。」という有名な句もこの長尾寺で詠まれたものだ。ところがだ、今年は改装でそんな雰囲気は全く感じられない。愕然として納経所の前に座りこみ、青い空を眺めていた。そんなわけでこの寺での長居は無用と決めてすぐに出発。改装後を楽しみにしたいところだ。今年はどういう訳かこういった改装中のお寺が多かった。それも後半に目立った。覚えているだけでも六十番横峰寺、六十五番三角寺、六十六番雲辺寺、七十四番甲山寺などなど。

早々に長尾寺を後にすると次はいよいよ結願寺大窪寺である。山頭火の言葉を借りればまさに「もりもりあがる雲へあゆむ。」という気分だった。■

つづく
by fibich | 2007-12-25 21:59 | ライダー日記

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by 遊羽(なめタン)
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