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幻想と日常 ~La Fantazio kaj la Kvotidiano

遍路日記2007(32)

8月7日(七日目)五十二番太山寺、五十三番円明寺

遍路の朝は早い。これはこれまでの日記をお読みいただければわかるかと思うが、7時に寺の納経所が開くのでそれよりも先にお参りを済ませるには朝6時台には最初の寺に入っていなければならない。

7日目は道後温泉のホテルをちょうど6時に出発。道後温泉本館の一番太鼓が鳴るのと同時に宿を出発した。この日最初の寺五十二番太山寺は松山市の西に位置する。道後温泉からだと10キロ強くらいの距離だろう。山門脇をそのままバイクで通り過ぎるとまず最初に納経所が右手に見える。ここに駐車場があるのだが本堂と大師堂はそこよりも更に250メートルほど奥にある。さらに急な坂道になっているのでバイクだったら山門の階段前までは進んでいった方が良いだろう。(車は駐車場に)

道の終わりの右手に山門までの階段があるのだが、これは山門ではなく三の門と呼ばれている。山門は先ほど一番最初に脇を通っている。階段を上がると正面に本堂が、左側に水屋と大師堂がある。朝のうちから寺の人が掃除をしていて、朝寺の清々しさを強く感じた。ちなみに去年はこの寺で一日の打ち止めをしている。本尊は十一面観世音菩薩。去年は去年で全く人気がなかったのだが、今年は今年で朝と言うこともあってまだ遍路は僕くらいしか来ていなかった。

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五十二番札所太山寺本堂


本堂、大師堂とお参りを終えてバイクで納経所のある方丈まで戻る。納経所で僕より前に誰か来たかと訊ねてみると一人やって来ているという答え。これがおそらく長澤さんだろうと思った。遅れをとってしまうと相手は大型バイクだから追いつけるはずもないと諦め、自分のペースで寺を打つ覚悟をする。とは言ってもこの日で七日目、まだ伊予ということもありかなりペースを上げなければいけないと思った。

そんなわけで五十二番は打ち終わると早々に移動。次は五十三番円明寺である。太山寺から円明寺までの距離は約2.5キロ。距離は短いが迷いやすい。まだ松山市内にいるのだ。

五十三番円明寺はいかにも町寺。山門の道路向かいにある駐車場にバイクを駐めると早速山門から中にはいる。山門の正面奥に本堂が、山門からちょっと入った右手に水屋があり、水屋の正面に大師堂がある。去年は改装工事中であまり印象に残っていなかったのだが、この寺にはキリシタン灯籠という八十八カ所では唯一キリスト教徒の関係がある寺なのだ。

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五十三番札所円明寺本堂



この寺の本尊は阿弥陀如来。狭い境内の中にはちょっと立派な中門がある。この中門がなかなか趣あってお寺らしさを醸し出す。そんな境内のどこにキリシタン灯籠があるのかというと大師堂のすぐ脇、山門をくぐったらすぐに左に進んだところにひっそりと残されている。見れば確かにマリア様らしき姿の像が彫られていてこれを「マリア観音」と呼ぶらしい。去年も感じたが異教の象徴を境内にどかすことなく残しておくあたり非常に懐の深さを感じるものだ。

急ぎの身とはいえしっかりとキリシタン灯籠にもお参りをして五十三番を後にする。四十六番から始まった松山市内の札所はここで終わり。次の五十四番延命寺は今治市内にあり、ここでちょっと長距離移動をすることになる。朝食を取ることもなく先を急ぐべくバイクに乗ると早速北へと進路をとってバイクを走らせた。■

つづく
by fibich | 2007-10-14 23:24 | ライダー日記

詩と写真の日記

by 遊羽(なめタン)
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