2007年 08月 23日
遍路日記2007(3)
前回の遍路日記でも遍路について簡単に書いたのだが、今回も同じ事を書こうと思う。同じと言っても去年とは見解も違うのでそのあたりに差があると思う。(別に去年のものと読み比べろとは言ってません。)
◆遍路がすること
ずばりお参りです。間違っても御朱印集めではありません。
四国中にある札所八十八カ所をすべてお参りする。これが遍路のすることです、もっと言えば弘法大師の足跡を辿ること、これがお遍路です。かつて弘法に対して悪態をつき八人の子供を失った衛門三郎が弘法を追いかけて足跡を辿ったというのが遍路の始まりとも言われています。衛門三郎は21周目の焼山寺でやっと弘法と会うことができ、そこで絶命。弘法はその名前を石に書いて握らせ弔い。のちに五十一番寺の近くでその石を握りながら生まれてきた子がいるらしく、そこから五十一番は石手寺と名前がついたそうだ。
◆遍路支度
今はまったく普通の恰好で遍路をする人もいます。しかし遍路らしい服装と言ったら次の通りです。
白衣(びゃくえ)
遍路のユニフォームみたいなもの。かつては命をかけた巡礼旅、自分の死装束を着ながら旅を続けたということもあり、白い装束は遍路のトレードマークのような物でもある。正式な白衣と略式で袖のない笈摺の二種類がある。
菅笠
最近では笠をかぶらない遍路もいる。確かに夏の暑いときは笠をいちいちかぶってもいられない、しかし逆に笠があるから頭を守ることもある。お堂では脱帽が絶対のマナーであるがこの菅笠だけは取らなくても良いことになっている。夏場は敢えて携えることをおすすめ。
金剛杖
これは弘法大師の代わりと言われている。歩くための道具にもなるのだがそう言った意味合いからバイクに乗っていてもこの杖だけは持って行った。この杖を共に旅をすることは常に弘法と一緒に旅をしているということになり、そこから「同行二人」という言葉が生まれた。しかし最近では杖を持たない遍路が多い。やっぱり巡礼しているというリアリティを感じたければ持っておきたい物だと思うが… ちょっと邪魔になっちゃうのかな。各札所では必ず数本は杖立に置きっぱなしで置き去りにされたかわいそうなお大師様を見かけた。
輪袈裟
略式の袈裟のこと。白衣は着ずともこれを巻く人はいるくらい、順序としては上。夏の暑い最中にこれをつけているのはつらいのだが、せめてお参りをするとき、寺の中にいるときにはつけておくべき。そしてこれをつけたままトイレに行ったり食事をしたり煙草を吸ってはいけないことになっている。
お札
各札所の本堂と大師堂に自分の名前と願い事を書いて納める札。この札もあらかじめ必要な事項を書いておかないとすぐになくなってしまう物だ。夕方五時まで札所を打ち続け、宿に戻ったら夜にはお札書きというのがお遍路らしい過ごし方かも知れない。
札には色があり、白札は1~4回目。緑札は5~9回目、赤札は10~24回目。銀札が25~50回目、金札が50~100回目。それ以上になると錦札になる。納札箱を除くと時々白いお札の中に赤や銀などのお札が混ざっていることがある。しかし去年は聞かなかったのだがこの色つきの札(銀以上のもの)を納札箱から盗んでいく輩が多くなったという話を聞いている。
数珠
真言宗の長数珠が正式だということらしいが、弘法のように左手に巻いてお参りをする。長いからって首に巻いては絶対にいけないらしい。長数珠でなくてもお寺にお参りするときに数珠を携える人は少なくない。そんな感覚を持ち合わせていればいいのではないかと思う。経験から言うがあまり長くない方がいい。
持鈴(じれい)
お経や真言を唱えるときの区切りに使う人は使う、使わないからと言ってその唱え方が間違っているわけではない。要するにあってもなくても良いもの。僕は去年買った物を携えていたが、他の使い道は全くない。日頃は親父の月の命日に墓参するとき、お鈴の代わりにこれを使っている。
経本
ちょっといい経本には各札所のご詠歌まで書かれている物がある。必要な事は大抵書かれている。般若心経を唱えられない人はこれがないと何もできない。本当はお経を唱えられる人でもこの経本を読まなければ行けないらしいが、経本を見ることに気を取られてせっかくお堂の前に立っても願い事を頭の中に浮かべられないので僕は持ってはいたがあまり使わなかった。寧ろ各札所の真言(本尊が何かによって唱える言葉が違う)などがちゃんと書かれていたのでそういった時には役に立つ。どちらにしても高い物ではないのであまりケチケチしないこと。ケチケチするとあとで後悔する。
線香・蝋燭
札所で必ず使う物だ。本堂と大師堂に蝋燭は1本ずつ、線香は3本ずつ立てることになっている。最初に買ったものは30~40番台の寺で全てなくなってしまうのでどこかで必ず買い足さなければならない。こんな物使い切ってしまうのかと驚くものである。
遍路納経帳
そのお寺を打った証として御朱印をいただくための帳簿。これの代わりに笈摺や掛け軸などもある。御朱印がすべて集まればそれは家宝にもなる。この家宝欲しさにこれだけにこだわる輩もいるが、そうなるともう「似非遍路」としか言いようがない。
頭陀袋
遍路道具一切を入れるための白い袋。最近は使い勝手の良いデザインのものもあるのだが、僕は日頃から愛用しているバッグをそのまま頭陀袋として使っていた。改めて買い求める必要ははないかと思う。
その他季節によっては手っ甲、脚絆なども必要だと言われているが、手っ甲は夏の暑いときには考えられないと思われがち。ところが日焼け予防にはわりと役に立つかも知れない。しかし夏の時期あまり手っ甲は見かけることもなかった。
遍路がどのようにお参りするかも事細かく書いてみたいのだがそれはまた別の機会に書くことにする。■
つづく
◆遍路がすること
ずばりお参りです。間違っても御朱印集めではありません。
四国中にある札所八十八カ所をすべてお参りする。これが遍路のすることです、もっと言えば弘法大師の足跡を辿ること、これがお遍路です。かつて弘法に対して悪態をつき八人の子供を失った衛門三郎が弘法を追いかけて足跡を辿ったというのが遍路の始まりとも言われています。衛門三郎は21周目の焼山寺でやっと弘法と会うことができ、そこで絶命。弘法はその名前を石に書いて握らせ弔い。のちに五十一番寺の近くでその石を握りながら生まれてきた子がいるらしく、そこから五十一番は石手寺と名前がついたそうだ。
◆遍路支度
今はまったく普通の恰好で遍路をする人もいます。しかし遍路らしい服装と言ったら次の通りです。
白衣(びゃくえ)
遍路のユニフォームみたいなもの。かつては命をかけた巡礼旅、自分の死装束を着ながら旅を続けたということもあり、白い装束は遍路のトレードマークのような物でもある。正式な白衣と略式で袖のない笈摺の二種類がある。
菅笠
最近では笠をかぶらない遍路もいる。確かに夏の暑いときは笠をいちいちかぶってもいられない、しかし逆に笠があるから頭を守ることもある。お堂では脱帽が絶対のマナーであるがこの菅笠だけは取らなくても良いことになっている。夏場は敢えて携えることをおすすめ。
金剛杖
これは弘法大師の代わりと言われている。歩くための道具にもなるのだがそう言った意味合いからバイクに乗っていてもこの杖だけは持って行った。この杖を共に旅をすることは常に弘法と一緒に旅をしているということになり、そこから「同行二人」という言葉が生まれた。しかし最近では杖を持たない遍路が多い。やっぱり巡礼しているというリアリティを感じたければ持っておきたい物だと思うが… ちょっと邪魔になっちゃうのかな。各札所では必ず数本は杖立に置きっぱなしで置き去りにされたかわいそうなお大師様を見かけた。
輪袈裟
略式の袈裟のこと。白衣は着ずともこれを巻く人はいるくらい、順序としては上。夏の暑い最中にこれをつけているのはつらいのだが、せめてお参りをするとき、寺の中にいるときにはつけておくべき。そしてこれをつけたままトイレに行ったり食事をしたり煙草を吸ってはいけないことになっている。
お札
各札所の本堂と大師堂に自分の名前と願い事を書いて納める札。この札もあらかじめ必要な事項を書いておかないとすぐになくなってしまう物だ。夕方五時まで札所を打ち続け、宿に戻ったら夜にはお札書きというのがお遍路らしい過ごし方かも知れない。
札には色があり、白札は1~4回目。緑札は5~9回目、赤札は10~24回目。銀札が25~50回目、金札が50~100回目。それ以上になると錦札になる。納札箱を除くと時々白いお札の中に赤や銀などのお札が混ざっていることがある。しかし去年は聞かなかったのだがこの色つきの札(銀以上のもの)を納札箱から盗んでいく輩が多くなったという話を聞いている。
数珠
真言宗の長数珠が正式だということらしいが、弘法のように左手に巻いてお参りをする。長いからって首に巻いては絶対にいけないらしい。長数珠でなくてもお寺にお参りするときに数珠を携える人は少なくない。そんな感覚を持ち合わせていればいいのではないかと思う。経験から言うがあまり長くない方がいい。
持鈴(じれい)
お経や真言を唱えるときの区切りに使う人は使う、使わないからと言ってその唱え方が間違っているわけではない。要するにあってもなくても良いもの。僕は去年買った物を携えていたが、他の使い道は全くない。日頃は親父の月の命日に墓参するとき、お鈴の代わりにこれを使っている。
経本
ちょっといい経本には各札所のご詠歌まで書かれている物がある。必要な事は大抵書かれている。般若心経を唱えられない人はこれがないと何もできない。本当はお経を唱えられる人でもこの経本を読まなければ行けないらしいが、経本を見ることに気を取られてせっかくお堂の前に立っても願い事を頭の中に浮かべられないので僕は持ってはいたがあまり使わなかった。寧ろ各札所の真言(本尊が何かによって唱える言葉が違う)などがちゃんと書かれていたのでそういった時には役に立つ。どちらにしても高い物ではないのであまりケチケチしないこと。ケチケチするとあとで後悔する。
線香・蝋燭
札所で必ず使う物だ。本堂と大師堂に蝋燭は1本ずつ、線香は3本ずつ立てることになっている。最初に買ったものは30~40番台の寺で全てなくなってしまうのでどこかで必ず買い足さなければならない。こんな物使い切ってしまうのかと驚くものである。
遍路納経帳
そのお寺を打った証として御朱印をいただくための帳簿。これの代わりに笈摺や掛け軸などもある。御朱印がすべて集まればそれは家宝にもなる。この家宝欲しさにこれだけにこだわる輩もいるが、そうなるともう「似非遍路」としか言いようがない。
頭陀袋
遍路道具一切を入れるための白い袋。最近は使い勝手の良いデザインのものもあるのだが、僕は日頃から愛用しているバッグをそのまま頭陀袋として使っていた。改めて買い求める必要ははないかと思う。
その他季節によっては手っ甲、脚絆なども必要だと言われているが、手っ甲は夏の暑いときには考えられないと思われがち。ところが日焼け予防にはわりと役に立つかも知れない。しかし夏の時期あまり手っ甲は見かけることもなかった。
遍路がどのようにお参りするかも事細かく書いてみたいのだがそれはまた別の機会に書くことにする。■
つづく
by fibich
| 2007-08-23 16:28
| ライダー日記