ブログトップ | ログイン

幻想と日常 ~La Fantazio kaj la Kvotidiano

遍路日記(10)

八月六日 二十一番札所太龍(たいりゅう)寺、二十二番札所平等寺

四国八十八カ所には三カ所にロープウェーやケーブルカーを利用しないとかなりきつい場所がある。その最初が二十一番太龍寺。そして六十六番雲辺寺と八十五番八栗寺だ。太龍寺へ行くにはロープウェーしかないとばかり思いこんでいた僕は迷わずロープウェー乗り場のある道の駅までバイクを走らせた。鶴林寺から太龍寺までの道は鶴林寺からの険しい山道を降りるとあとは那賀川沿いのなだらかな道を走る。しかしこの道沿いの集落は山々に挟まれた絶景の中にあり、よくこんな所に人が住んでいるなと思うほどの場所である。

遍路日記(10)_a0004070_0534949.jpg太龍寺ロープウェーは往復で2400円と決して安くはない。これは後々まで高いと思ったが、ロープウェーから眺める景色は絶景。とにかく四国は絶景には事欠かないとは大泉洋もよく言ったものである。とはいえ本当にきれいな風景だ。またロープウェーそのものも半端ではない高い場所を通過する。さらにこのロープウェーは床の一部が網状になっていて真下を見下ろすこともできる。

こうして雲の上のような太龍寺に到着するとまるで別世界に来たかのような風景が広がる。この太龍寺は西の高野山とも呼ばれるほどその雰囲気は高野山によく似ている。しかも標高が高いので涼しいのは言うまでもない。とにかくとても立派な寺である。立派なだけあって境内も広い。そして石段の数もこれまた半端ではなかった。いろんな意味でありがたいものだと思ったものである。しかしこんな立派な太龍寺でも午前中に打った國分寺でもする事は変わらないのである。本堂も立派なら本堂からちょっと離れたところにある大師堂もとても立派。とにかく太龍寺は札所の中でも屈指の立派な寺であった。のんびりと境内を歩き回り、気がつけば下りのロープウェーは4時20分発までなかった。

遍路日記(10)_a0004070_0532845.jpg
二十一番太龍寺の納経所


下りのロープウェーで案内のお姉さんが次の平等寺までは15分くらいだと言うので今日中に行けるかと訊ねると十分間に合いますとのこと。急いでバイクに戻ってすぐに二十二番札所平等寺へと向かった。国道195号線をひたすら走るのだが、この国道のペースは相当早かった。途中山口中学校という学校の横を右に曲がると3.5キロほど走って平等寺まで着く。ロープウェーのお姉さんの言う事は正しかったのだが時間もギリギリで山門をくぐって即納経所へ向かう事になってしまった。今日もまたやってしまった。

本堂へは階段を上がり、その階段を下ったところに大師堂があった。納経所では歩き遍路さんが休憩していたが、今とにかく風呂に入りたいですと笑いながら言っていた。この遍路さんは八月いっぱいまで四国に滞在し打てるだけ打ってみたいと言っていた。寝泊まりはおもに四阿で、とにかく風呂に入るチャンスがないのが困りますと言っていた。

遍路日記(10)_a0004070_0552657.jpg
二十二番札所平等寺


こうして今日は二十二番で打ち止め、駐車場に戻って地図を確認すると二十三番薬王寺まではかなりの距離があり、二十キロ以上も離れていた。薬王寺に近いキャンプ場を見つけると荷物を整え、暮れてゆく国道55号線をひたすら南下した。この国道を走っているときにパンダの着ぐるみを着ためずらしい遍路を見かけた。しかも逆方向に向かっていたところから逆打ちをしているようだった。ほんの一瞬のことだったのだが確かにパンダの着ぐるみの遍路を見た。

国道を南下して日和佐(現美波町)まで行くと、海岸線沿いに走り少し離れた恵比寿浜という所のキャンプ場でテントを設営。テントを張り終わると食料を調達に日和佐の町までもどり、買い物を済ませると途中にある白い灯台というホテルで入浴をした。このホテルの風呂がすばらしく、中は何の変哲もない風呂なのだが露天風呂は眼下に太平洋を見下ろす絶景の風呂だった。しかも波間から月が昇って来るのを見ただけで今日一日の疲れも吹き飛ぶ思いだった。

すっかり汗を流して恵比寿浜に戻ったが、海浜キャンプ場特有の湿気にやられこの日もなかなか寝つけなかった。

  つづく
by fibich | 2006-09-02 00:55 | ライダー日記

詩と写真の日記

by 遊羽(なめタン)
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31