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幻想と日常 ~La Fantazio kaj la Kvotidiano

【詩】『川を渡る列車』

【詩】『川を渡る列車』_a0004070_230116.jpg
青っぽい列車に乗って
渡った川は
ちょっと前まで
簡単には渡れはしなかった

青っぽい列車が行く先に
まだまだ容易には渡れぬ場所がある
一つの国
一つの民族を分断し
流れ続ける川を渡り
列車は青っぽくてどこにでもある通勤列車だけど
その意味は遙かに重くて
希望に満ちているのかも知れない

青っぽい列車に乗って
簡単に渡ってしまった
この川の冷たさに涙し
この川を越えられずに命を落とした者達の
ため息や嘆きなど
知った気になって
今日僕も
この川を渡ってしまった

鉄馬は走りたいと書いてある
古い看板を素通りする時代が
こんなに早く来るとは思わず
それでもなお
川を渡ったすぐ先で
青っぽい列車は止まってしまう
そこよりも先へと
同じ列車で進める時代が
いつになったら来るのかは
まだわからないけれど

青っぽい列車に乗って
川を渡りました
昔は渡るに渡れない
冷たい川でした
青っぽい列車が鉄橋の上
鈍い音を立てながら
その先へ延々と走っていけることを
祈っているようだった



PHOTO:イムジン江

by fibich | 2005-11-14 02:30 |

詩と写真の日記

by 遊羽(なめタン)
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