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幻想と日常 ~La Fantazio kaj la Kvotidiano

田老

【2017年5月5日(金)】

 龍泉洞を出ると岩泉町の沿岸にある小本に出て、そこから南下をすると田老だ。現在は宮古市田老となっているが僕が住み込みで宮古にいたときはまだ田老町といって隣町だった。この田老には住み込み時代も含めて何度も行った場所である。

 この田老に震災後お蕎麦屋さんができ、それが復興の証としてテレビで紹介されているのを見た。それが今年の初めくらいのことだった。それを見て俄に三陸に行ってみたいという気持ちをかき立ててくれた。もしこのテレビを見ていなかったら三陸に行ってみようという気持ちにはならなかっただろう。

 そのお蕎麦屋はテレビで見たときにはいかにも仮で営業していますという感じの建物だったのだが、後に移転をしてちゃんとした店構えになっていた。

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◆はなや蕎麦たろう

 このお店では手打ち蕎麦を自分で選べる天ぷらと一緒に食べることができ、出てくる蕎麦も地元の田老産のものが食べられる(他にも北海道産と同じ岩手県の紫波産のそばもある)。お店に着いたときはお昼時ということもあって駐車場はほぼいっぱいだったがよく見ると地元ではなくよそからやって来た車が多かった。我が家と同じようにどこからか評判を聞きつけてやって来たのだと思う。

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◆ミニカツ丼とセットで

 味の方も確かでこれならまた食べに来たくなるなと言う満足感。今回は田老産のお蕎麦を食べたが残念ながら他との違いはわからなかったが、十分に満足できたのでそれはそれで来た甲斐があった。

 せっかく田老に来たのだが町の様子は変わり果ててしまい、陸前高田同様全く知らない場所にやって来てしまった気分である。田老は昭和三陸津波の時にも甚大な被害を受け、巨大な防潮堤があったのだがそれでも先の津波はそれさえも乗り越えて町を飲み込んでしまった。

 田老にはもう一つ三王岩という名勝があるのでそちらも見に行くことに。大船渡の穴通磯と同じく崖の上から見る奇岩だが、その崖に上がるまでの道もまったく記憶にない道だった。

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◆三王岩

 写真ではわかりにくいが実に巨大で立派な一本岩である。さすがにリアス式の陸中海岸だけのことはあるなとつくづく思わせる場所だ。こういった奇岩名勝は比較的津波の影響を感じさせない(建造物じゃないからだ)。

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◆三音岩をバックに

 三王岩を見終わって田老の町に戻る途中にはかつての田老観光ホテルが解体されずに残されていた。宮古市では(宮古以外でも)津波による被害を後生まで語り継ぐ為に一部の建造物を被災遺構として保存している。

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◆田老観光ホテル

 案内板によるとこの5階建てのホテルの4階まで津波が到達、1,2階は骨組みだけを残しすべてがながされてしまったとのこと。事前に予約をしてあれば建物の中にも入ることができる。おそらくは宮古市役所の人なのだろうが、ガイド役として説明をしていた。

 ここだけ見るとだだっ広い場所にホテルがあるような印象しか受けないが、実際は下町っぽい場所にこのホテルがあった。直前まで入っていないがこのホテルの近くは通ったことがある。

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◆M9.0の地震でこれだけ地面が動いたらしい

 旧田老観光ホテルには駐車場やトイレもあり、じっくりと見学をすることができるのだが、その一方でそれを直視できるかというと恐ろしくて長いことは見ていられないのではないかと思う。ここで予想外に時間を使ってしまったので先を急ぐことにした。国道45号線を南下して宮古へと向かう。
次回につづく

by fibich | 2017-05-20 11:01 | わんこといっしょ

詩と写真の日記

by 遊羽(なめタン)
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