2014年 06月 24日
【地名考】徳島県旧三好郡~こうして飛び地ができあがった(後編)
続いてどのようにして「三好市」と「東みよし町」ができたのか、その経緯を書いてみる。
まずは三好町・三加茂町合併協議会
新町名称検討小委員会により公募、有効応募総数2357通、1201種の名称候補が寄せられる。この中から47点選出。さらに30に絞り、最終的には5つに絞り、平成16年2月17日の第11回合併協議会で発表された。この時点ではまだ合併協議会から三野町と井川町は離脱していなかった。
清流町(せいりゅうちょう)
4町のいずれにも滝や谷川が流れ、中心には町のシンボルとも言える吉野川が流れている。
東みよし町
三好郡の東部に位置するから。ひらがなの「みよし」は清々しく明るく感じられる。
みかわ町
三好、三加茂、三野の「三」と井川の「川」を合わせそれをひらがなで表記。柔らかくて優しい感じで親しみが持てる。「美しい吉野川」の意味も込められている。
三井町(みついちょう)
三好、三加茂、三野の「三」と井川の「井」を合わせたもの。新しい町のため4町が力を合わせる願いが込められている。
みのだ町
吉野川中流にある「美濃田の渕」から命名。
第11回合併協議会ではまだ検討が終わっていない自治体が一部あることから選定方法だけ決めて(投票で1位が過半数を超えていたら決定、越えてなければ2位も選び最終決定をする)新地名に関する協議は終了。
平成16年3月18日の第12回合併協議会で投票が行われ。委員総数28名の投票で次のように決まる。
東みよし(12)
みかわ(7)
みのだ(4)
三井(3)
清流(2)
1位が過半数に満たないため東みよしとみかわの2つで決戦投票が決まる。14票同数の1位を避けるため議長が投票を辞退し、記名で投票が行われ、東みよし16,みかわ11で東みよしが新町の名称に決定。
その後井川、三野の両町が協議から脱退し、平成16年12月14日の第19回合併協議会で再検討が行われるも、もう一度決めてしまった名前が発表もされかなり浸透し慣れている現状を見て再検討はすべきでないと意見も多く、あとは「みよし」を漢字にすべきとの意見もあったが最終的に挙手で是非を問い続行が多数意見となって地名再検討せず続行が決定。ここで「東みよし」という地名が誕生する。
続いて三好西部合併協議会の流れ
一般公募で地名を募集平成16年11月12日から同月30日までの応募期間に総数2832通。うち無効分245を除いた2587件が有効。名称種類は485件。その中から、得点上位21点に絞られる。さらにその中から上位5つにしぼられる。地域住民アンケートの結果は…
阿波池田市(867)
三好市(277)
あわ池田市(169)
阿波いけだ市(77)
阿波三好市(53)
合併協議会は21点の中から一人3点ずつ選出して候補を選定した。その結果は…
阿波池田市
全国的に有名な阿波池田の名前を
三好市
地域の郡名として定着していて、三好郡は1つという理想の元新市の将来的展望からふさわしい。
あわ池田市
阿波をひらがなにすることで親しみやすく、新市の位置もはっきりとわかる。
阿波三好市
三好という名前に阿波を冠し名前だけでどのあたりか位置がわかるようにした。
四国池田市
四国の中の池田市という意味でわかりやすい。スケールの大きさかが感じられる「四国」の名前を冠する。
の5つとなった。
(三好市観光協会HPから引用)
数の上では1位の阿波池田市が選ばれて然りなのだが、本当にこれでいいのかという声が上がると具体的に「阿波池田がいい」と推す声や「三好がいい」、また「阿波池田は嫌だ」という声も上がり協議が白熱してくる。これが余所の合併協議会では民意を尊重すべきだといって決められてしまうのだがここの協議会ではそれでいいのかというためらいの気持ちもあったのだろう。そんな中決定方法は投票で、もうこれ以上意見を出し合ってもしょうがないので上位2つのどちらを選ぶか決めてしまおうという話になっていく。大方話がまとまったところで10分間の休憩。休憩後に43名の委員で投票、三好22対阿波池田20。三好が過半数も超えているのでここで「三好市」という新しい市名が誕生する。しかし「みよし」市は今現在広島県の三次市、愛知県には「みよし市」と3つもあるんだよね。
最後に合併後の地図を見るとどんな姿になっているのかというと…
飛び地の部分は旧三野町なのだが、とても目立っている。地図でも目を引く目立ち具合で有名にもなりそうなのだが、もはや三野町という名前もない。
ところで前半にも書いたようにいずれはこの三次市と東みよし町は合併を目指すのだろうが、それが実現するとなるとやっぱり新地名は「三好市」になっちゃうのではなかろうかと個人的には思う■
リンク
市町村変遷パラパラ地図(大変参考になります、このサイトの画像を利用しています)
by fibich
| 2014-06-24 19:20
| 平成大合併新地名考