2004年 04月 06日
【詩】『桜を愛でる』
あと一週間も経てば
すべて散ってしまう
わかっているだけに
この時期は憂鬱になる
だから私は精一杯桜を愛でる
来年またこの姿を
見られるかどうかわからないから
今を一生懸命生き抜く桜の姿に
私の姿をそっと重ねて
真剣に桜を愛でる
何かを飲んだり食べたりしながらなんて
そんないい加減な姿勢で
桜と向き合いたくない
まっすぐ桜の木の下に立ち
愛おしむように見上げて
桜と対話をする
あと一週間の儚さは
胸の奥底にぐっと沈めて
今を精一杯咲き誇る
その姿を目に焼き付ける
桜よ 来年また会うことができたら
今度は私の隣に
誰がいるのでしょう
今一緒に桜を愛でているこの人が
また私の隣にいるのでしょうか
また来年会うことができたら
その美しき姿を
私に見せてほしい
そしてこれから青々と茂るあなたの姿を
私は忙しいながらも
しっかりと見届けるから
どうか来年また会いましょう
違う場所 違う空の下で巡り会っても
同じ姿を私に見せてほしい
こんなに精一杯咲いている花が
あと一週間も経てば
すべて散りさってしまうなんて
今の私には 到底考えられないこと
けれども毎年こうして
桜の散りゆく姿を見届けてきた
来年また会えるのならば
その瞬間を楽しみに生きていける
だから今 私は真剣に
桜と向かい合える
by fibich
| 2004-04-06 22:01
| 詩