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幻想と日常 ~La Fantazio kaj la Kvotidiano

【詩】『十月のクリスマス』

耳鳴りのような蝉の声が消え
幾度と嵐を過ごし
庭から松葉菊の花がいなくなり
去年のジャケットを引き出して
羽織ってみる
この一年でまた痩せてしまった
窓の外鈍色の空が
生気を失う時期の始まりを告げる
胸ポケットから
去年のクリスマスカード
ポケットの中は
あの時のまゝ
そろそろ一年が過ぎようとしている
まだあの時は
幸せだったのか
どん底と思いこんでいた頃が
確実に遠ざかっていたのが
よくわかるけど
クリスマスカードは今年も
やって来るのだろうか
まだそれほど遠くもないあの頃が
胸ポケットから蘇る
それは全てが冷え切る直前の十月
偽りはどれだけ
この一年で消えたのだろう
贖罪の日々と思いこんでいた
あの頃の事が
いつになく鮮明に
瞼の裏で蘇った
外はそろそろ
雨が降る様子
僕はそろそろ
冬支度を始める
by fibich | 2004-10-21 22:35 |

詩と写真の日記

by 遊羽(なめタン)
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