カテゴリ:平成大合併新地名考( 14 )

 前回の山武市に引き続き、寄せられた地名候補を紹介しなかった南砺市の地名候補が他にもあるのできょうはそれをツッコミといっしょに紹介しよう。

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◆安居寺
南砺市観光協会HPから引用

仰げば東砺(あおげばとうと)市
 我が師の恩ですか。何を仰ぐのだろう。
あかるい市
 あかるいだけでは地域の特徴は説明できんだろう。
あけぼの市
 新地名候補の常連でもあり、どこも採用しない名前。
アトム市
 この地域と原子力はどう関係があるのか、実現しなくて良かったのかも。
イメージレイン市
 意味不明だ。
うっかり市
 何事もうっかりでは困る。
越中がっしょうの森市
 長すぎ。
笑市
 この名前も他の場所で見かける事がある。笑われちゃう。
オーロラ市
 この地域でオーロラが見えるのだろうか。
上福井平利城(かみふくいたいらりじょう)市
 長すぎだろう。
川上シンホニー市
 シンホニー…
きときと市
 さすが富山。しかし富山以外の場所で「きときと」は通じない。
きらきら市
 これも新地名候補の常連中の常連。
きらめき市
 きらきらだのきらめきだのと見かけばかりではダメなんだよ。
きらり市
 これも見た目ばかりの名前。
銀河市
 スケールのでかさでは最大級。
くすりうり市
くすり市
 確かに富山は薬都として知られているがそれが場所の名前にはならんだろう。
これから市
 これから何か明るい材料はあるのだろうか。
サクセス市
 外国語はねぇ。意味を知らない人にとっては何のことだかわからんだろう。
サンシャイン市
たいよう市
 この地方はそんなに日当たりの良い場所なのだろうか。
チューリップ市
 チューリップが有名な場所では候補によく挙がる。ある程度地域も限定されているがさすがに採用はされないだろう。
となみチューリップシティ市
 こんなになるならまだ「チューリップ市」の方がまし。
トナミ運輸(株)(となみうんゆ)市
 一番笑った。(株)は必須なのか。
砺波ときめきタウン市
 長すぎ、要らない言葉だらけ、要らない言葉を取ればお隣の名前。
富山みらい市
なんとみらい市
 本当にみらいがあるのか。
 安易にみらいを名乗るといい笑いものになる。
ドリーム市
 昔米国の経済学者がドリームという命名は悉く失敗するという論文を出したことがある。
(^_^)市(にこにこし)
 手書きの時に訳がわからなくなる。
二十一世紀市
 100年後はどうなるのだろう。
日本海市
 これが採用されると太平洋市クラスの大騒ぎ+日韓問題も引き起こしただろう。そもそも南砺市は内陸地だろう。
のび太市
 実はのび太と富山は無関係ではない。
のほほん市
 のほほんで済まされる場所にされては住民が一番困るだろう。
ハート市(八愛砺市)(はあと市)
 これも外国語、さらに漢字書きに至ってはなんじゃこれはと思うが、八乙女山+愛+砺波と実は凝った作り。暴走族漢字表記とはわけが違う。でもボツ。
フラワードリーム市
 これもどこにあるのか場所が全然特定できない。
文化中央市
 名前を裏付ける世界文化遺産があるが、これもどこだか場所がわからなくなる。
ほーぷ市
 なぜにひらがな。
ホワイトバレー市
 わざわざ英語で言わなくてもいいのにと思う。
ポンポン野市
 不思議なネーミングだがおそらく蒲公英の綿毛のことなのかも知れない。
みらくる市
 四六時中ミラクルではくたびれてしまう。
メルヘン市
 四六時中メルヘンでは頭がおかしくなってしまう。
ゆねすこ市
 これはきっと世界遺産がらみのネーミングだろう。なぜにひらがな。
ラッキー市
 富山県ラッキー市と呼んでみるとなんとなく胡散臭く感じてくる。
リヨト市
 意味不明。
れいめい市
 ここにもあったれいめい市。よそではこの名前が採用されてしまうとは夢にも思わなかっただろう。
ろまん市
 ひらがなで書いた方がリアリティあるのだが、やっぱり地名には相応しくない。

 こうやって候補を見ると地域地域で寄せられる名前も違ってくるし(今回地元密着形のごく普通の候補は挙げていない)そのいっぽうでどこででもこの名前は登場するなという名前やパターンが多い。「○○みらい」なんてのはそのいい例だろう■

 今回は合併前から新地名でちょっと騒がれ、結局なんだこの名前はという新地名で落ち着いた鹿児島県いちき串木野市の話。合併協議会名は「串木野・市来合併協議会」で鹿児島県串木野市と市来町の合併でできた町だ。新市名の名前だけ見ればいわゆる「燕三条」形のネーミングで、片っぽがどういうわけかひらがなである。この時点で地名通や言語学者から見ると「またか」と思われてしまう。

 串木野市はそれまで合併を協議していた川西薩(せんせいさつ)地区法定合併協議会(川内市、串木野市、樋脇町、入来町、東郷町、祁答院(けどういん)町、里村、上甑村、鹿島村。後の薩摩川内(さつませんだい)市)から平成15年度に離脱、その後すぐに住民要望の声を聞き市来町との合併を図ってみてはどうだという声が強かったので市来町に打診。

 一方の市来町も日置合併協議会(市来町、東市来町、伊集院町、日吉町、吹上町、金峰町。後の日置市)で他町との合併に向けて話を進めていたが離脱。両市町は平成15年12月18日に串木野・市来合併協議会を設立して本格的な合併協議に入る。(ここらへんまでは自分にとっては全然興味がない。端から見るとお互いに許嫁がいる者同士が手に手を取って… なんてイメージがなきにしもあらず。 

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◆長崎鼻公園、見てみたいな
いちき串木野観光協会HPから引用

 
 新地名称については新市名称等検討小委員会で全応募名種類787点から第一次選考33点、さらにそこから5点に絞り平成16年8月26日の第10回合併協議会にて提案される。提案された候補は次の通り…

串木野市(くしきのし)
 現存地名なので名称変更による経済的影響がない。知名度もある。
くしきの市
 読み書きが易しく新鮮である。
西さつま市
 名前で位置がわかりやすい。薩摩という名前は知名度が高い。
望海市(のぞみし)
 両市町ともに海に面し、これからの未来に希望を持たせる意味がある。瑞祥地名
れいめい市
 新しい時代の幕開けを感じさせ、読み書きも易しい。瑞祥地名。それにしても「黎明」とはすっ飛んでいる。

 これに対して市来側が小委員会の選定に対し串木野の名前は2つもあるのに自分たちはないのは寂しいと言い出し、串木野の「木」を市来の「来」にしてしまえばどうだろうというあまりに安易で寂しい提案が出る。これに対して小委員会側から地名には歴史的な意味があることは看過できないと声が出て、串木野の名前の由来の説明に入る。

 串木野の串は今とは違いかつては海、港湾の意味を持っていた。串木野の名前がつけられた頃はこの海から木々が茂る野原が広がっていたであろうことからこの名前がついたのではないだろうかとのこと。確かに串の字がつく地名は海の近くが多い。串崎、小串、串本など西日本に行くとたいていは海の近くだ。

 平成16年9月24日の第11回合併協議会では継続審査の確認、同年10月14日に行われた第12回合併協議会で先に選出された5点中から無記名投票で決めることになり、次のような結果になる。

れいめい市11
串木野市6
くしきの市1
西さつま市0
望海市0

 この段階で個人的には「やっちまったな協議会」と言いたくなる(特に得票数を見て)。委員総数18名で過半数を獲得した「れいめい市」という名前が新市名称として正式に選定された。

 ところがこの「れいめい市」に待ったがかかる、というか単に「えーこんな名前ヤダよ」という声なのだが、あまりに名前がすっ飛びすぎているので地域の人たちも戸惑ったのであろう。合併は賛成だがその名前は勘弁してくれという声が高くなり平成16年11月19日の第15回合併協議会では再審議が要求された。「れいめい市」に反対意見が多かったのは主に串木野側で串木野の名前を残してくれという意見が多かった。一方の市来側は比較的「れいめい」という名前にはそれほど否定的でなかったらしい。

 15回協議会では「れいめい」も最終候補に入れつつも、元の名前を残す案も同時進行。すると市来側からも市来の名前も残したいという意見があり、そこで市来と串木野をそのままくっつけるまさに「燕三条パターン」案が出される。しかしこの案には地元の人には納得がいく理由がある。

 市来町はそれまでも議会では「いちき町議会」とひらがなを使っていてひらがな地名には慣れていた。そして串木野はもとから市なので「串木野市」という名前はもともとあり「いちき串木野市」にするのがいいだろうというアイデアが出る。こうして元の787候補リストと照合し、「いちき串木野」があったので選考委落ちしていたはずの名前に白羽の矢が当たったのだ。当初の票数はたったの2票。

 平成16年11月22日、先の第15回協議会から3日後に第16回合併協議会が開かれ、前回の「れいめい市」と「いちき串木野市」の2つから無記名投票による選出。

 委員総数18名中白票1

 いちき串木野 14
 れいめい    3

 で、新市名称は「れいめい」から「いちき串木野」へと変更となる。これでめでたしめでたし現在もまだいちき串木野というやたらと長ったらしくてひらがな交じりな地名が用いられている。当時の大合併でさんざん叩かれたひらがな地名が増えたのには「なにか新しいから」「見た目に優しいから」だの「親しみがある」などといった理由が多いのだが「以前からひらがなを議会で使ってたから」という何ともヘンテコな理由で決定になったのはおそらくここだけではないだろうか。。

 この経緯をよく見ると一番わからないのは旧市来町だ。最初は市来の名前にこだわっておきながら「れいめい」という名前が決まるとそれがいいと言いだし、それが串木野で叩かれて元の地名をという話になるとまた姿勢を変えてそれじゃあうちの名前も残してよと、あまりに節操がなさ過ぎな印象を受けてしまう。

 ここまででも面白い経緯をたどっているが、もっと面白いのは一般公募787点の中にあった地名候補。以下にツッコミといっしょに記す

イノキ市…「いちき」だの「イチキ」だの色々ある中どさくさ紛れとしか言いようのない名前。
エンジェル市
エンジェルシティー市
ハッピーエンジェル市…バカじゃないの。
凹凸市(おうとつし)…住所書くときにイライラしそう。そんなに串木野と市来の関係は凸凹なのかな。
エノキーノ市…意味不明。
がっぺい市…見ての通りだ。
キラキラ市…実は他の自治体の一般公募でも常連の名前
串木野市来さざなみの生まれる湊市…長すぎだよ。協議会委員や地名選考小委員会の委員は長い名前は避けるよう心がけている。これまた住所書くときイライラしそう。
さつまあげ市…実は一般公募では食べ物や名産の名前が寄せられる事が多いが採用されたのを見たことがない。
サワー吹上市…意味不明
助動市(じょどうし)…英語好きな人が多いのかな。
ダブル市…どこがダブルなのかわからない。
パパラッチャ伊藤市…意味不明。ふざけているとしか思えない。
東シナ海市…まさに太平洋市の再来、日中・日韓問題につながりかねない。
フレンドリー市…外国語はねぇ。出身地聞かれてもどこだかわかってもらえない。
ゆかいな市…そんなにいい場所なのかね。

 このところこのおもしろ候補は紹介していなかったのだが下調べの段階でちゃんとまとめてあるのでこれまで紹介した自治体にあったおもしろ候補も追って紹介したいと思っている■

 続いてどのようにして「三好市」と「東みよし町」ができたのか、その経緯を書いてみる。

 まずは三好町・三加茂町合併協議会

 新町名称検討小委員会により公募、有効応募総数2357通、1201種の名称候補が寄せられる。この中から47点選出。さらに30に絞り、最終的には5つに絞り、平成16年2月17日の第11回合併協議会で発表された。この時点ではまだ合併協議会から三野町と井川町は離脱していなかった。

清流町(せいりゅうちょう)
4町のいずれにも滝や谷川が流れ、中心には町のシンボルとも言える吉野川が流れている。

東みよし町
三好郡の東部に位置するから。ひらがなの「みよし」は清々しく明るく感じられる。

みかわ町
三好、三加茂、三野の「三」と井川の「川」を合わせそれをひらがなで表記。柔らかくて優しい感じで親しみが持てる。「美しい吉野川」の意味も込められている。

三井町(みついちょう)
三好、三加茂、三野の「三」と井川の「井」を合わせたもの。新しい町のため4町が力を合わせる願いが込められている。

みのだ町
吉野川中流にある「美濃田の渕」から命名。

 第11回合併協議会ではまだ検討が終わっていない自治体が一部あることから選定方法だけ決めて(投票で1位が過半数を超えていたら決定、越えてなければ2位も選び最終決定をする)新地名に関する協議は終了。

平成16年3月18日の第12回合併協議会で投票が行われ。委員総数28名の投票で次のように決まる。

東みよし(12)
みかわ(7)
みのだ(4)
三井(3)
清流(2)

 1位が過半数に満たないため東みよしとみかわの2つで決戦投票が決まる。14票同数の1位を避けるため議長が投票を辞退し、記名で投票が行われ、東みよし16,みかわ11で東みよしが新町の名称に決定。

 その後井川、三野の両町が協議から脱退し、平成16年12月14日の第19回合併協議会で再検討が行われるも、もう一度決めてしまった名前が発表もされかなり浸透し慣れている現状を見て再検討はすべきでないと意見も多く、あとは「みよし」を漢字にすべきとの意見もあったが最終的に挙手で是非を問い続行が多数意見となって地名再検討せず続行が決定。ここで「東みよし」という地名が誕生する。
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◆加茂の大楠
(東みよし町観光協会HPから引用)


 続いて三好西部合併協議会の流れ

 一般公募で地名を募集平成16年11月12日から同月30日までの応募期間に総数2832通。うち無効分245を除いた2587件が有効。名称種類は485件。その中から、得点上位21点に絞られる。さらにその中から上位5つにしぼられる。地域住民アンケートの結果は…

阿波池田市(867)
三好市(277)
あわ池田市(169)
阿波いけだ市(77)
阿波三好市(53)

合併協議会は21点の中から一人3点ずつ選出して候補を選定した。その結果は…

阿波池田市
 全国的に有名な阿波池田の名前を
三好市
 地域の郡名として定着していて、三好郡は1つという理想の元新市の将来的展望からふさわしい。
あわ池田市
 阿波をひらがなにすることで親しみやすく、新市の位置もはっきりとわかる。
阿波三好市
 三好という名前に阿波を冠し名前だけでどのあたりか位置がわかるようにした。
四国池田市
 四国の中の池田市という意味でわかりやすい。スケールの大きさかが感じられる「四国」の名前を冠する。

の5つとなった。

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◆徳島西部屈指の観光地、かずら橋。旧山城町にある
(三好市観光協会HPから引用)


 数の上では1位の阿波池田市が選ばれて然りなのだが、本当にこれでいいのかという声が上がると具体的に「阿波池田がいい」と推す声や「三好がいい」、また「阿波池田は嫌だ」という声も上がり協議が白熱してくる。これが余所の合併協議会では民意を尊重すべきだといって決められてしまうのだがここの協議会ではそれでいいのかというためらいの気持ちもあったのだろう。そんな中決定方法は投票で、もうこれ以上意見を出し合ってもしょうがないので上位2つのどちらを選ぶか決めてしまおうという話になっていく。大方話がまとまったところで10分間の休憩。休憩後に43名の委員で投票、三好22対阿波池田20。三好が過半数も超えているのでここで「三好市」という新しい市名が誕生する。しかし「みよし」市は今現在広島県の三次市、愛知県には「みよし市」と3つもあるんだよね。

 最後に合併後の地図を見るとどんな姿になっているのかというと…

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◆2006年8月時点の徳島県。飛び地が光っている


 飛び地の部分は旧三野町なのだが、とても目立っている。地図でも目を引く目立ち具合で有名にもなりそうなのだが、もはや三野町という名前もない。

 ところで前半にも書いたようにいずれはこの三次市と東みよし町は合併を目指すのだろうが、それが実現するとなるとやっぱり新地名は「三好市」になっちゃうのではなかろうかと個人的には思う■

リンク
市町村変遷パラパラ地図(大変参考になります、このサイトの画像を利用しています)


 平成大合併ではちょっと無理あるよと言う合併もいくつかあり、地図を見ると異様に広くなったりいびつな形になった新市町がたまにある。たとえば日光市、かなり肥大した。こんな風に理屈や希望だけで合併を進めたらあとで地図で見るとすごい形になってしまったというものもある。

 さて、今日は徳島県の話。今回は新地名を先に書くが1つは「三好市」、もう一つは「東みよし町」だ。いずれもかつては三好郡だったもの。何か有名なものがあるのかというと基本的に域内に吉野川が流れ、阿波池田という名前や大歩危・小歩危、秘境祖谷山なんてのは聞いたこともある人もいるかと思う。特に鉄道旅行を好む人にとっては阿波池田駅は交通の要衝で乗り換えでお世話になったなんて人もいるはず。

 この三好郡の6町2村は1つになって大きな広域市を作ることを目標とし「三好郡合併問題研究会」を立ち上げる。ところが東部(三好町、三野町、井川町、三加茂町の三好郡東部四町合併協議会)が一町を作りたいのに対して西部(池田町、山城町、東祖谷山村、西祖谷山村の三好西部合併協議会)はあくまでも大きな市にこだわり意見は対立。合併協議会は立ち上がらなかった。

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■2005年4月時点での徳島県内の三好郡(図の西の方)の東西勢力図

 平成15年8月東部4町に対し西祖谷山村を除いた西部三町が加入を打診。東部の井川町以外はこれを否決、西部2町1村と井川町は可決。なかなか東西できれいに分かれて合併協議が進められなかったのはそれぞれの町村の権謀術数があったからだろう。

 東部の協議に乗れなかった西部は井川町に打診をし、いっしょに市を作ろうと話を持ちかけ「市政を目指す協議会」を発足させるも井川町で東部の枠組みを住民アンケートの結果から選択したために協議会は解散。もとから井川町は合併の枠組みに関しては口を閉じていた。これによって東部は東部で1つの町を、西部は西部で1つの市をそれぞれ作り、将来はその町と市を合併させるというビジョンで別々に話が進んでいった。

 平成16年、西部内でこのまま合併したら池田町ばかりが目立ち、池田町一極集中なると西隣にある山城町と南隣にある西祖谷山村で反発が強まり、しまいには山城町が西部から脱退をほのめかすまでになった。

 時同じくして東部でも井川町がこのまま合併すると財政格差で不利になり、加えて住民説明会の意見でも東部合併にはあまり積極的でなく、第一に市を作る、でなければ自立、それがダメなら東部合併という意見が多く東部から離脱をする。これを見た山城町の動きは沈静化する。

 その年の11月には井川町の他にも三野町が離脱、2町は西部に合流する。三野町は地図を見てもわかるが東部も本当に東側。しかし住民の意見は東部合併よりも飛び地になってまでも西部の大きな市の一部になることが優先された。

 その翌月には西部の三好西部合併協議会で「三好市」が新市名として決定された。残された三好町と三加茂町の2町はそのまま合併協議会を継続し2町合併で「東みよし町」が誕生。

 こういう風に地方自治体は合併協議会ができたからといってそのまま合併まで話を進めず、住民意見などをくみ取って場合によっては合併協議会から脱退するということもあるのだ。地図を見ると三野町は今は三好市の飛び地となってしまって目立つことこの上ないのだが、飛び地ができあがると言う事は何やら大人の事情大ありなんだなというのもわかる。それぞれの地名決定の経緯については後半にて■

リンク

三好市役所HP(ライブカメラあり)
東みよし町役場HP(ライブカメラあり)
市町村変遷パラパラ地図(大変参考になります、ここの画像を利用しています)

 今回は最初から新地名を紹介しておく。協議会の名前は芦原町・金津町合併協議会。二町を新規合併させて1つの新しい「あわら市」を作った。ひらがな地名だ。またひらがなだ。だいたいひらがな地名が選定されると合併協議会では反対意見もあるわけで、「ひらがなは稚拙すぎる」という意見が決まって出てくるものだが、協議会の委員さんはひらがな地名がお好きなのかと思ってしまうことがある。だいたいひらがな地名が決まる場所には無理がある。
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◆北潟湖
あわら市観光協会HPより引用


 「あわら」という名前は福井県でも屈指の温泉地、芦原温泉のこと。とは言っても全国的にそれほど有名なのかというと「う~ん」と首を傾げてしまう。聞いたことあるという人もそれが福井県にあることまでは知らないなんてこともあるだろう。

 新市名が選ばれるプロセスを書くが、ここの合併協議会HPはとにかく資料が見やすいように作られていてとても親切だ。

 平成15年1月31日、第2回新市の名称候補小委員会にて有効応募作品から60点選出。同年2月18日第4回新市の名称候補小委員会でさらに10点に絞り込む。この時点で選ばれた候補は以下の通り。

あかね市
 あわらの「あ」と金津の「かね」を組み合わせれば「あかね」という名前になる。空が朝焼けや夕焼けで茜色になる場所をイメージさせる。

芦津市(あしづし)
 芦原の「芦」と金津の「津」を合わせたもの。両町の一体感をイメージさせる。

あわら市
 芦原が「あしはら」と誤読されることがあるのでひらがな地名にし、新しいイメージとひらがなの柔らかさも加わる名前。

芦原市(あわらし)
 全国的に知名度の高い芦原温泉の名前を採用したもの。

越前市(えちぜんし)
 嶺北地方一帯の旧国名、知名度も高く両町の将来の広域的な市町村合併にも対応できる。

金津市(かなづし)
 合併する自治体の旧町名。

越野市(こしのし)
 旧国名の「越前」に広がる坂井平野を象徴した地名。

さかい市
 自治体のある「坂井郡」をひらがなにしたもの。

森陽市(しんようし)
 「森」と「太陽」を合わせ、緑豊かな新しい市をイメージさせた。

みずき市
 両町の特性である「水」と「木」をあわせ、みずきの花のような美しい市を願ってできた。

 ところで越前市の説明にも書いた「将来の広域的な合併」というのはこのあわら市と同じ平成大合併でできた隣接する「坂井市」との合併の事である。こちらはまだ実現していないがどこの町村もこれを意識して今回の新市が誕生している。

 この10点は平成15年2月26日の第7回合併協議会で小委員会から報告され、合併協議会でこんどは協議が行われる。

 平成15年4月10日の第9回合併協議会で地域の全世帯にアンケート用紙を配付して住民意見をうかがう事に決まる。しかしこのアンケート用紙を作成する段階で(原案はすでにあるが、そこから改善点をピックアップする)「あわら」と「芦原」のどちらにするのか議論が起こる。

 議事録を読んでいると協議会自体が「あわら」というひらがな地名を選ばせたい恣意を感じる。たとえば協議会長の発言には。

今、(「あわら」と「芦原」が)同数になった場合の話はしていないんです。それでは何も問題はないのですが、今、○○委員が心配されているのは、ひらがなと漢字で票が分かれてですね、他の候補に負けるんじゃないかということを心配されている訳です。だから、ひらがなの「あわら市」が1番になれば問題にならない訳ですけれども、例えば2番がひらがなの「あわら」になって、3番が漢字の「芦原」になって、1番が「あかね」になったら困るという話です

 なんでしょうね『他の候補に負ける』だとか『1番になれば問題にならない』、『なったら困る』だとか、これは住民の意見を聞く方法を議論していると言うよりはもはや住民にどうやって「あわら」を選ばせるかで議論しているように感じる。「この人達選ばれた候補の中で何が何でも「あわら」を選ばせたい」という印象を受ける。

  それに対して○○委員は…

あの、もう一回整理して、お話させていただきます。私は勝ち負けのことは申しておりません。どういう結果になろうと、最多得票で選ばれたものを我々はそれを認めます。ただし、「あわら」だけがこの 10 点の中に2種類ある訳で、投票する側としては非常に迷うと思います…(中略)…そしてその結果、もし「芦原(あわら)」が多かった場合には、ひらがなと漢字のどちらにするかということだけはこの合併協議会で決めていただくということが、最もわかりやすくていいんじゃないかと、申し上げているのです。それを合併協議会で決定したからといって、「何でひらがなにしたんだ」とか「何で漢字にしたんだ」ということはないと思います。
 と言ってのけているが、甘い!まさにこの部分が日本中の合併協議会が最も恐れている事項だったのではないかと思う。それだけひらがな地名にはまだまだ抵抗を感じている人が多く、ひらがな地名を決めようとする合併協議会はまさにこういう人たちが最大の敵でもある。それでもひらがなをごり押ししたい。すると合併協議会側も意固地になるというパターンがひらがな地名を生ませる1つの要因なのかも知れない(あくまでも推測)。

 結局間に2回休憩を挟み、ひらがなの「あわら市」のみを記載し漢字は削除することで決定。この決定自体が協議会の恣意のように議事録からは受け止められる。閉会後に名称選定小委員会が開かれる。

 ところでこのアンケートも後々思えばなんとも工作してんじゃないのと思うようなものだ。アンケート用紙は10までに絞り込んだ候補の中の「芦原市」だけを削除した9つの中から3つ選んで○をつけさせる方式だった。これが後にまた議論を呼ぶ。

 平成15年5月14日の第10回合併協議会ではアンケート結果が発表になる。そのまま集計した結果は対象世帯9762、宛先不明で108通戻り、9654世帯に届き、回答は5738。うち無効票324を引き有効票数5414。結果は「芦津市」1位、2位が「あかね市」3位「あわら市」、以下「みずき市」、「金津市」「さかい市」「越前市」「森陽市」「越野市」。

 ただ有効票の中には3つ○をと言ってあるのに○が1つ、2つのものも有効となり、(4つ以上は無効)その扱いによって順位も変わるところに着目。結果は全てを対等に扱ったものであり、1つ○だけならだの2つ○を取ればだのという言うなれば「細工」を図る議論に入る。

 このアンケート結果が先に小委員会で行われた選出の結果と一致しているからそれでいいだろうというご尤もな意見もあり、それでは上位3つで協議をしようという話になる。そうなると次から次へと個人的意見で「あわら市」を推す声が上がる。

最終目標は6町合併であり、その時また新しい名前になると、全国的に知名度を上げるためにまた一苦労することになる。「あわら市」になれば「あわら」は現段階で全国的に名前が売れているので、さしあたって は「あわら市」が一番いいと言う町民の意見でございました。私は、金津町民が一番考えている名称は「あわら市」だと受け取りました。私は、住民の声を十分認識したうえで、「あわら市」がいいのではないかと考えております。
 こんな意見、確かに「芦原温泉」でその名前は知られているがそれとひらがなとはどう関係するのか説明になっていない。そもそもがアンケート用紙から「芦原」という漢字表記を削除してしまったのもこんな質問を避けるためとしか思えない。

 結果を見ますと「芦津」が一番多かったということです。これは坂井町と春江町の合併では「春坂市」と言う名前になったので、その後に行ったこのアンケートでは、その影響もあって「芦津」が一番という結果になったのではないかなと思うのです。今日の福井新聞にも「両町の歴史や文化などを踏まえながら決めるべきだ」との記事が出ていましたが、そういう観点から考えましても、私は「あわら市」がいいのではないかと思います。
 地名の一部を持ち合わせた名前が同県内であったのできっとその影響でこんな名前が一番になったのだろうと言っているのだが、この言いぐさがまさに地域の住民をバカにしてはいないかなと思ったが…それはまあ個人的感想って事で。

 こんな風に次から次へと「儂はこれがいい」「自分もこれがいい」とでも言わんばかりでアンケート結果なんてどうでもいい状態。というのもアンケート結果を踏まえた意見がほとんどなく、それを難癖つけて否定している意見が目立つ。

 結局「あわら市」ということで一回持ち帰って町議会でOKもらって次で決めちゃいましょうという流れになり次の議題に入る。

 平成15年5月23日の第11回合併協議会で芦原町、金津町それぞれの町議会でどちらも何故3位の候補が選ばれたのかという質問はあったがOK出たからこれで決めちゃいましょうという話になりめでたく「あわら市」は誕生となる。

 ということで、合併協議会という狭い空間の中には特殊な空気が漂うのか、それとも議事録を読んだ僕が考えすぎなのかはわからないがひらがな地名が決まる場所というのはどこかしらに胡散臭いというか、ツッコミ誰も入れないでいいのという意見や流れが見えて来る。将来の広域合併の時にこの「あわら市」はどうなるのか…実はどうでもいいやとしか思えなくなってしまったのがホンネだ■

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◆太平洋(当該地域ではない)

 さて、「太平洋市」を第1回合併協議会で決定しマスコミにも大々的に発表をした「山武中央合併協議会」(千葉県成東町、松尾町、山武町、蓮沼村)。太平洋市があまりに不評で全国から苦情や撤回、見直しの要求の声を受け臨時第1回合併協議会なるものを開いた。
 当初は決めてしまった新市名をなんとか認めてもらおうという流れだったが時が経つにつれ次第に見直しをすべきとの声が上がる。やがて二つの意見が屹立してどのように決めるかという話へ。その決め方から議論され、無記名投票という話が上がるとそれに対して記名投票だろうと反対意見も出る。

 代表でやってきた委員なんだ、もっと正々堂々と記名して投票すべきだ。
 そんな思い切りでやった結果がこの臨時協議会だろう。

 なんていうようなやりとりまであるくらいだ。結局は議長裁量で「現状でGO=○」「改めて意見を聞く=×」で話がまとまり投票決戦。総数27名中×17名、○10名でひとまず太平洋市の決定は先送りとなった。

 次にどのように意見を聞くのかという議論が始まると、候補の中に旧町村名を入れると人口差で不利を被る(蓮沼村など)自治体が出るという意見から、各町とも無作為に同じ数を選んで手段は往復はがきというその場で決めました感たっぷりの意見が出る。各町200通の往復はがきを無作為に選んだ町村民に送りつけて意見伺いをすることに決定。次に…

○候補地に制限をかけるか
○得票1位で決定するか

 で議論が始まる。その時にオープン公募、得票1位がそのまま新地名というルールに対して危惧の念を抱くある委員がこんな事まで言い出す。

あくまでも、例えば成東の200枚が無作為抽出で俳句の好きな人のところへ届いたら、「あららぎ市」などというものになっちゃったら大変ですから
ならねぇよ…

 しかしそれもまた民意だから1位を選ぶべきだという意見もあり、最終的には挙手による是非でオープン公募と決定(その後の見苦しい反対意見もあったが一蹴される)各町村が出す往復はがきは200通から400通へと変更となる。

 もう一つこの時に「票をとりまとめるためのキャンペーン運動を各自治体で行わない」という口約束みたいな取り決めが行われた。この当たりがイナカだよなとつくづく思う。こうして協議会から無作為に選ばれた人の所にある日突然往復はがきがやって来るのだった。

 同年3月15日の第3回合併協議会で再調査の結果が発表される。無作為に抽出した各町村400.合計1600通発送中15名は宛先不明、総負数1585通、応募総数は739通(うち8通は白票、複数回答などで無効)中731通210種の有効候補を得る。

 これを第3回協議会前午前8時から学識経験者の意見も取り入れ確認をし、その後9時からの町村長議長会議で「山武」と書いて「さんむ」ということで協議会に提案。これに対して山武町代表が何故に「さんぶ」でなく「さんむ」なのだと質問。これに対し古くは郡制上山辺(やまべ)郡、武射(むさ)郡の二つだった場所が郡制廃止で合併になり山武となった経緯(この時から名前の一部持ち合わせ合併はあったのだ)と、昭和50年代以前は「さんぶ」ではなく「さんむ」だったことから元の呼び名に戻す意味で「さんむ」と読ませると説明がある。

 この説明がかなり詳細かつ古い時代から追跡したものだったこともあり反対意見もなくすんなりと決定してしまった。こうして今の千葉県山武市の名前は昔の名前で出るようになり今に至る。


ところでこの往復はがきアンケートの結果だが決定した山武と類似した名称(「さんぶ」と呼んだりひらがな表記のもの)の合計は223もあった。
以下は下の通り。

上総(かずさ)のグループ…74
九十九(つくも)のグループ…68
成東…47
東上総のグループ…37
山武中央のグループ…15
太平洋…14
九十九里…14
武佐…7

となる。これまでの経緯を考えると太平洋という地名だけは最初から不利だったんじゃないかなと思う。議事録を読んでいると合併協議委員の一部は太平洋という地名に陶酔して何が何でもこの名前でとあれこれ手を尽くしている様子がすべて徒労に感じられるところが読んでいてもむなしいというか、何だってこんな名前にここまで陶酔してんだかと呆れてくる。

 しかしながら最後に書くがこのもめにもめた協議中にも「合併が最優先だ」とみんなで言い続けて交渉決裂にならずに山武市という立派な市が作り上げられたことは素晴らしいことだと思う。これがどこかのセンスのない合併協議会のように一部が「もう決めちゃったし。いまさらうちの議会に持って帰れないし。」などと言って訳のわからんひらがな地名を通してしまうような協議会にならなかっただけでも、たとえ太平洋市などといったアホな地名に一時はなりかけたとしても立派なことだと思う。この話はここで終わり、長々とおつきあいありがとうございました。■

平成大合併では様々な市町村名が生まれ、中にはつくばみらい市のように本当に一自治体の名前になってしまったものまである。個人的にはこの大合併の新地名ワースト3というのは

「あっぷる市」
「太平洋市」
「南セントレア市」

 じゃなかろうかと思っている。いずれもそうなりかけたところで非難、反対意見の雨嵐で名前の決定どころか合併そのものまでご破算になってしまった。このように新たに市町村名を決める事は非常に大変で、一つ間違えば末代までその恥は語り継がれていく事にもなりかねない。さらに個人的には「れいめい市」(実現はしなかった)や以前に紹介した「つくばみらい市」(実現してしまった)なんてものもこの仲間に入れていいのだろうと思う。

さて、今例を挙げた三つのワースト地名の中で一つだけ合併ご破算だけは回避できた場所がある。今日はその話。しばらくの間はいつものように新地名は名前を伏せておく。

 合併協議会名は山武中央合併協議会(千葉県成東(なるとう)町、松尾町、山武(さんぶ)町、蓮沼村)で、初期審議の段階ではこの4町に東金町と九十九里町を含めた6市町村で山武地域合併協議会を立ち上げ「九十九里市」を作る構想があった。しかし後に東金市と九十九里町は協議会から離脱。残された4町村で山武中央合併協議会を立ち上げて協議を再開した。

 議事録を見るとすでに平成17年2月14日の第1回協議会ですでにこの候補の名前が登場し、決定になっている。(上の三つのうちのどれか一つが…だ。すごい事実。)後に大いにもめて取り消しになるくらいなので、その地名を決めた任意合併協議会なり新地名称候補選定小委員会ですでに決めちゃったその経緯を記録した議事録は見つからない。

 第1回協議会後に新市名称を公表すると非難の声が上がり平成17年2月23日に臨時第1回協議会が開かれる。先の協議会で議長を務めた当時の成東町長が議長交代を申し出た。この名前は決してパシフィック・オーシャンの意味ではない。大きな希望を持った平和な市と理解してほしい。という注釈がつくが事態はもう手がつけられないほどマスコミにより全国的に広められ、関係地域以外のあちこちからも非難の雨嵐となってしまった。

 そんな状態におかれながらもまだこの臨時協議会では決定を覆すことを前提としたものではなく、決まってしまった問題の新市名をなんとか正式に決定にもちこみ、後に控えた合併調印式にこぎつけたかったのである。寄せられた反対意見をまとめた資料が配られる。

 序盤こそこの決まった地名でいいじゃんと言う空気もあったが、考え直しの意見があるかと思えば、地域の学校の校歌をわざわざ片っ端から調べてほらこの学校には海が登場する。こっちなんてまんま登場してるぞと、先に言った「パシフィックーオーシャンとは違うのだ」という言葉も何だったんだろうねと思いたくなるような強引な意見も登場。そう、もう地名を明かしてもいいだろう。「太平洋市」のことである。新地名推進派はその他にも決まったこの名前だって民意なのだからそれを協議会が覆すのはおかしいと言い出す始末。
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◆太平洋(当該地域ではない)

 配付された資料は今でも閲覧可能で、その中からちょっとだけ紹介する…
もっといい新市名候補は無いのか
山武町・成東町・蓮沼村・松尾町(五十音順)で新たに合併協議会を立ち上げる様ですが提案された新市名名称が「つくも」「上総」「かずさ」「東上総」「東かずさ」「太平洋」と聞いて、もっと良い名前はないのかと思いました。
旧上総国の端の方に過ぎないここが「上総市」というのも違和感があります。だからと言って、一歩引いてへりくだるような感じで、ひらがなにしてしまいそうでまた心配です。
どっちにしても僭称ですが。ひらがなは温かみとか親しみやすさとかのイメージがあるでしょうが、稚拙で味気ないイメージも有ると思います。日本での学力低下が問題視されている昨今でもありますから・・・。漢字の方が昔から慣れ親しんでいるはずだと思います。
「太平洋市」なんてすると世界中がひっくり返ってしまいそうですね。九十九里⇒つくも、なんてのもいいんですか?問題ありだと思います。問題な名称だらけの地図を将来見たくありませんので。是非、よろしくお願いします。 
成東町男性・50代

改めて言いたい。
太平洋市はやめてください。
やめてください
やめてください
やめてください
やめてください
そんな名前で合併協定調印などして欲しくないです
将来 地図上で見たくないです
匿住所

太平洋市という愚名の極め付けも撤回せよ
「太平洋市」も撤回せよ!
太平洋という地球的、国際的名称をごくわずかな一地域が独占するような事は思いっきり地名の常識外れ、許されるものではない
愚名の極め付けこんな名称は到底容認出来ない
愛媛県男性・20代
 こんな資料を片手に臨時協議会はさらに議論を進めて問題打破を試みようとしていた。太平洋市を決めたのも彼らだが、彼らには「合併最優先」という合い言葉のような信念があった■

【後半に続く】

 今回の地名考は新潟県の話。地域の町名よりも施設の名前が有名になった事から新しい地名が誕生したケース。合併協議会の名前は中条町・黒川村合併協議会。失礼ではあるが新潟県の中条町、黒川村ってそんなに有名だろうか。大半の人は知らない、どこそれと思う事だと思う。

 この2町村の合併協議会は前段階の「任意合併協議会」(全9回)と、その協議会で正式に合併協議をしようと設立された「法定合併協議会」(全10回)の二つがある。地名においては任意協議会で町名の候補を公募し、法定協議会で決定という経緯を持つ、地名以外にもいろいろと協議があったのかずいぶんと長い経緯があるのだ。

 新市名の名前に関する議案は第3号議案。任意委員会では第2回から協議が行われる・前述の通り一般公募に関する協議が主で、第4回会議で募集要項、選定方法を決め、平成16年4月15日から5月17日まで公募を実施、515の応募の中から上位5点が選出。候補は以下の通り。

櫛形市(くしがたし/地域内にある日本最小の山脈の名前)
胎内市(たいないし/地域内を流れる川、スキー場やホテルの名前が有名)
たいない市
鳥坂市(とっさかし/地域の山の名前)
中条市(なかじょう市/中条町の名前)

 この候補の中に現在の地名が含まれているのでわかった人はわかった事だと思うが、今回は「胎内市」の話。いつの間にやら登場し、これは本当に地名なのかと思った人もいると思う。もとはその名前の川があり、そこから市の名前ができたと考えると余所にもそういった地名はある。たとえば徳島県の吉野川市などはまさにそうであろう。

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◆胎内川
胎内市観光協会HPから引用

 第1回法定合併協議会でこの5つの中からどれを選定するかの議論が行われるが。特に協議も投票も行われていない。冒頭から議長が胎内市を推奨し、各委員に5分間で資料を読ませる。

 資料の内容は胎内市でどうかという提案と理由。理由は主に4つ。

①「公募結果の尊重」
 一般公募で圧倒的人気だった経緯がある。すでに同名のスキー場やホテルがあり県外でも名前が知られている。

②「胎内(たいない)のそもそもの意味」
 もともとはアイヌ語地名で「清い水の流れ」を意味し、、地域の自然のシンボルである胎内川の名前が新地名に相応しい。

③「新市の町作りの基本的方針と一致」
 この場所でしかできない産業や交流が新市建設計画の最大の目標であり、その目標に相応しい名前である。

④「既存著村名廃止に伴う影響」
 中条、黒川という名前が消えてしまうことにより生ずる影響を新しい市名の影響で住民福祉の向上につながる。

 この資料をおよそ5分で読ませて審議に入るも、反対意見はなくあっさりと新市名は決定した。

 地域ではこれでいいのだろうが、やっぱりこんな経緯を知らない人はどうしてそんな名前なのというインパクトを受ける。しかし先ほどの資料の中の④にも書かれているようにそれも承知の上というか、それが狙い所でもあったのかなと議事録を読んでいると考えてしまう。だとしたらずばり的中したと言ってもいいくらいの正しい選択だったのであろう。それも元々からあった名前を用いるのだから、最初からこの合併協議会は恵まれていたのであろう。

 名称公募時に寄せられたすっ飛んだ地名候補も資料からわかるのでツッコミとともに紹介。

チューリップ市(11票)
 場所が全然特定できない。日本ではチューリップと言えば新潟よりも富山を思い出される。しかも11票という得票。

えちごみらい市(1票)
 どこぞのセンスのない協議会とちがって何にでも「みらい」をつければいいわけではないとちゃんと知っているのだろう。

笑市(えみし/1票)
 笑ってニコニコ明るい町…って、笑われちゃう。

おくやまのしょう市(1票)
たおやかなるみどり市(1票)
 長すぎ!新地名は長すぎると疎まれるのにこれはない。

さわやか市(1票)
 さわやか…ねぇ(笑)

スター中条市(1票)
 スター… センス全くなし。故郷の名前が恥ずかしくて言えないだろう。「ご出身は新潟のどちらですか?」「え、あ、あの…スター中条です」

 とまあ、他にもいろいろあるのだが昨今問題になっているキラキラネームみたいなものもある。不快なので一切紹介しない。

 もう一つこのリストを見ると同じ「たいない」でも書き方の違う候補や「胎内」を冠したり「胎内」に他の名前を冠した合成地名がある。

太伊乃市 胎内奥山市 胎内川市 胎内黒中市 胎内高原市 胎内栄市 胎内寺市 胎内昴市ほか
青葉胎内市 櫛形胎内市 中条胎内市 中胎内市 板額胎内(はんがくたいない)市 ほか

 合体地名も最近増えつつある。だいたいは協議会の段階で折り合いがつかずそれならぜんぶくっつけてしまえという経緯がある。(これを燕三条パターンと呼んでいる) それにしても胎内だけでもこれだけの候補が生まれているところを見ても「胎内」という名前に地域の人たちは強い思い入れを持っているのだとわかる■

 今回は地名が発表されると日本中に報道されて反対意見も多数出た茨城県のある場所の話。今の段階では敢えて地名は明かさないので本文を読んでどこだろうと考えてみるのも面白いかも知れない。

 合併協議会の名前は「伊奈町・谷和原村合併協議会」。ここでわかればおそらくは地元の人か茨城県の人、または地名通の人だろう。

 そもそもこの合併にはもともと水海道市も参加し、三市町村合併で話が進んでいたが、水海道市が議員比例で不利になる事、新市庁の場所などで折り合いがつかず平成17年1月28日正式に合併協議会から離脱、その後北隣の石下町を編入し常総市となる(編入後自治体の名前が変わる珍しいケース)石下町もまた下妻市との合併がご破算になった言うなれば離縁組同士がくっついたケースだった。残された伊奈町と谷和原村で再び合併の協議が始まる。


 伊奈町・谷和原村合併協議会は平成17年2月7日の第1回協議会で新地名選定に際して水海道市との3市町村合併の際に候補として上がった地名のうち「常総市」を除いた4候補とアンケート調査で1つ選定した今回新市名として選ばれた”第五候補”の5つから決める事で協議は決定。4つの候補はすでに住民も知っている候補だった。


みらい市

みらい平市

小貝市(地域に小貝川が流れているから)

南つくば市(南筑波市)


 この候補を見ればどこの話かわかるかも知れないがまだ明らかにはしない。2町には親しみのある名前が選ばれるがどこかおかしい。「みらい」があるのはつくばエクスプレスの沿線でみらい平駅があるからだ。この駅名にあやかりたい気持ちが見えて来る。この駅名だって本来は「伊奈谷和原」という名前になるところが「みらい平」となった。つくばエクスプレスの「みらい平・いちさと」計画から駅名にみらい平とつけられた経緯がある。


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◆つくばエクスプレス
首都圏新都市鉄道株式会社サイトより引用

アンケート調査は先の合併協議会から水海道市が正式に離脱した二日後に伊奈町、谷和原村でそれぞれ行われた。結果は決定地名を除くと以下の通り。

伊奈町(得票順)

みらい市(25)、みらい平市(23)、南つくば市(19)、小貝市(10)、南筑波市(10)、筑南市(4)、谷原市(4)、伊奈谷和原市(3)

谷和原村(得票順)

みらい市(32)、南つくば市(12)、南筑波市(8)、(”第五候補”漢字交じり)(5)、(”第五候補”漢字交じり)(4)

 谷和原村側には36票で後に決定される”第五候補”が挙げられたが、伊奈町側での票はなかった。これで両者側での地名に対する期待感がそれぞれ別の方向に向かっていた事がわかる。

第二回合併協議会で小委員会がアンケート再調査により「南つくば市」の表記と”第五候補”にまだ表記については議論が尽くされていないが決定された地名が発表される。こうして”第五候補”に挙がった地名が最終的には選定される(けどまだ明かさない)

 ところがその直後谷和原村委員から衝撃の告白。

昨日,谷和原村の合併委員会を行いまして,傍聴の学識委員の皆さんとともに,平仮名で「(”第五候補”)市」と全会一致で決まりましたので,ひとつよろしくお願いいたします。

ひらがなの理由は横浜の「みなとみらい」(これってただの地区名であって正式な町村名ではないのだが)もあるし、つくばエクスプレスにはみらい平駅もあることからひらがな地名を推した都の事。その後は「南つくば」となぜ仮名交じりにしたのかをはじめとした仮名と漢字の配置についての議論と質問の応酬。


それにしても横浜にみなとみらいがあるからという理由でひらがな表記もいいじゃんと考える当たりは個人的には心外だ。そもそも茨城県はひらがな地名が多すぎることから「真面目に地名を考えていない」という非難の声が大きい。それは「つくば市」という市名から始まっている。平成大合併以前から何か新しい事をして目立ってやろう精神が見え見えなのだ。その時代のひらがな地名は青森県の「むつ市」とつくば市だけだった。


 ひらがなにこだわるのはこの「つくば市」のネームバリューだ。つくば市とも隣接するし、つくば市がひらがなならそれじゃあという意見が出る。この中には「つくば」だけでも漢字にすべきだという話も出る。


 議論は9時51分に休憩に入り、その間に新市名称補選定小委員会だけが別室で議論をする。そして10時13分に再開、小委員長がひらがなで通すと発表。理由はアンケート時に谷和原村サイドでひらがなが36票、漢字交じりが5票と4票の合計9票しかなかったからだ。


 こうして絞られた候補に対し伊奈町側からは反対意見や「みらい市」を推す意見も出る。何でもつくばにおんぶで抱っこではこの地域の独自性がないという、地名は短い方がすっきりするなどという反論もあった。


こうして伊奈町側が「みらい市」を推すのに対し谷和原村側は第五候補を推し、双方譲る事なく投票で決めることに。その際にもし同率1位が出た場合の扱いに関しても議論、その際は抽選にするかどうかで再び議論が始まるが、まずは投票を行う。投票はかな表記は後で議論をさせるために候補名が書かれた紙にひとつだけ○をつける方式で行われた

結果は9対9(「みらい市」9、”第五候補”9)で決着つかず、ここで抽選の案も出るがそれでは抽選で決められた地名と後々まで遺恨が残るのでと言う事でアンケート結果に照らし合わせ、上位にあったものが選ばれるべきだと話がまとまり始める。


しかしここに来て谷和原村側委員で新地名候補選定小委員会の一員でもある者が屈託なく意見を言い合って決めようと言い出すがそれと同時に自分は”第五候補”がいい、それに前日の特別委員会ですでにこの”第五候補”で満場一致しているので他の名前(ここではみらい市)になっても村議会に持って帰れないとかなり強引な姿勢に出始め、その後谷和原村サイドでどのような経緯で”第五候補”にしたか、「みらい市」ではダメなのかという話が続く。


ここで「休憩」という発言があり、午前9時半から開始した協議は11時10分で二度目の休憩に入り、11時22分に再開。再開して最初の議長の発言で

新市の名称でございますが、「筑波みらい市」に決定をいたします。


といきなり新市名が決まってしまった。少なくとも議事録を読むといきなり決定したとしか読み取れない。(絶対に改竄があったはずだ)さらに11時23分から休憩に入り、その間に新地名候補選定小委員会が協議を始め、議論は11時41分に再開、小委員会からひらがなの「つくばみらい市」に決まったという事だけ発表(少なくとも議事録を読むとそう考える以外に思いつかない)。つまりこれまで書いてきた”第五候補”というのは「つくばみらい市」のことである。


議事録ではわからない部分が多々あるのだろうと思うが、議事録だけ見ていると…


うちらで前日決めちゃったし、それでいいじゃん。これボクのいる小委員会でも決めたしさ、これで決まらないと村議会に持ち帰れないよ。決めちゃったんだから従ってもらうよ。


…と言っているようなものだ。なんとも後味の悪い決まり方だが協議会はすぐに協議第13号についての審議に取りかかった。


 こうして谷和原村の強引な押しで「つくばみらい市」という名前が決まった。議事録を読むと紛糾の声もなにも全くないがないわけがない。Wikipediaで当該地名を調べてみるとこのように書いてあった。


谷和原村側委員が合併協議会席上で発表して「つくばみらい」を強硬に主張したことから協議会は紛糾し、二度の休憩を挟んで最終的には二度目の休憩中、公開の場でない別室で飯島善伊奈町長・鈴木亮寛谷和原村長(協議会開催前日に公職選挙法違反〔公職の候補者等の寄付の禁止〕で書類送検を受けていた)の間で「手打ち」のような形で市名が決定した。その話し合いは21分にもみたなかったという非常に短い協議であったため、反対への署名まであった。市名候補を選出する小委員会の委員長が谷和原村議会議長を兼ねており、また、この際の紛糾の様子が合併協議会議事録から一部削除・改変されている。
Wikipedia 「つくばみらい市」市名の由来より引用。

 この後自分の記憶では全国に大々的に発表されたこの名前に対し反対意見が非常に多かった事と「じゃあなんだ、我々には未来がないのか」とつくば市の一部で反発の声もあったということ。

 無理を通せば道理が引っ込む、決定を受けて公に知名として認識されればその経緯はどんな事でも正しい行いになるんだということがわかった。あまり茨城県を特定して非難はしたくないけどこんなだから反発の多いひらがな地名が他にも増えるんだなと思った次第。でも最後に個人的意見を言えば「つくばみらい」って名前はイヤなんだけど「みらい市」だったらもっとイヤだなあと思った。最初っから自分たちの思惑ばかりの新市名称候補選定小委員会の面々がセンスのない連中だったんだと思うしかないだろう■


~訂正後再掲~

 前回北海道遠軽町の編入合併と新地名命名の経緯について書いた。今回は富山県南砺市の話。南砺市は砺波平野の南側にあった城端町、平村、上平村、都賀村、井波町、井口町、福野町、福光町の5町3村が新設合併して南砺市という一つの市になったもの。

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◆南砺市というと世界遺産の五箇山
合併前は平村、上平村にまたがっていた
(南砺市HPから引用)

 これまでに書かなかったが実は合併協議は非常にデリケートなもので、各自治体が譲り合いで話は進むもの。協議案にどうしても受け入れられないものがあるといって協議会を離脱し自分は合併しないと宣言する市町村も珍しくはない。そんな中で8つもの自治体が足並みをそろえて新設合併という目標が達成できただけでも本当なら素晴らしい事である。様々な経緯の中で時に忍耐もあったに違いない。

 平成15年6月25日、第2回新市名候補選考小委員会にて第1次選考、2597の有効応募の中から89種類に絞られ、さらに第二次選考30にまで絞られた。

 平成15年7月24日の第3回新市名候補選考小委員会で30から各委員が3点選び12に、最終的には4つにまで絞り込まれた。地名一つ決めるのだって一般公募でこれだけ慎重に選び、最後は小委員会が候補を絞り込む作業が何回も繰り返されるのだ。

 選びこまれた候補は次の4つ

越南市
光南市
南砺市
八乙女市

 越南は地名で位置を説明したもの(越中の南)、光南は言うなれば瑞祥地名、南砺は以前より砺波平野の南側という意味で用いられていた地区名、そして八乙女は地域の山の名前なのだが、言うなれば8つの町村が力を集めて一つになる象徴の名前と言ってもいい。

 平成15年8月2日の第5回合併協議会で委員会が新市名を決める事になったがこの際には地味な作業をコツコツとここまで続けてきた新市名候補選考小委員会を賞賛する言葉が続いた。ところが先の第3回小委員会からまだ一週間ほどしか経っていないのに決めちゃっていいものかどうかと一部の委員から声が上がる。これまで丁寧な仕事に対してさっさと決めて良いものなのかと心配になっている様子。

 しかし各委員が意見を言うと今日決めてしまった方がいいという意見が大半。中には6万からの新市民が全員納得はいかないが、子供の名前と同じで呼んでいるうちにだんだんと慣れ親しんでくるだろうという意見や、さらにはこんな意見もあった…
やっぱりなれが大事じゃないかと思っております。子供の名前でも、仮にマサオと名前をつけますと、何か初めは呼びにくいんでございますが、そのうち「マサオ、マサオ」と何回も呼んでいるとなれてまいりまして、これが私の子供やなと思うようになるのでございます。
 うーん子供の名前も地名ももはや同じ。協議委員の皆さんにはこれほどまでの思い入れがあったのかと感じずにいられない。しかしマサオという名前はどこからやって来たのだろう。この後も意見を数多く汲んで即日決定にこぎ着けて投票。結果は…

 越南0.光南1。南砺23,八乙女9で決定。八乙女が9と強かったのはやっぱり地域の山の名前だったからであろう。

 大いにもめる事もなく(新地名制定に関しては)合併がうまくいった自治体の例だと思いたいのだが、実際の所はどうだったのであろう。議事録だけ読むと新地名に対する思い入れが他の自治体以上に感じられるものだった。

 しかしもしも「越南」という名前になっていたらベトナムのどこかと姉妹都市提携でもしたのかなと思う。平成大合併はこんな「もしも」の世界を考えてみても面白いかも知れない■