2004年 08月 04日
【詩】『夏の幻想 15』
扇風機だけが
冷房だった頃
風を最強にして
顔を近づけて
あ~
聞こえてくるのは
自分の声のはずなのに
おもしろおかしくて
いつまでも妹と一緒に
あ~
全開にした窓に
涼しげなすだれの影
蝉の声ばかりが聞こえてくる
じっとしているのが勿体ないのに
暑くて外に出るのが億劫だった
エアコンなんて
まだ珍しかった時代
扇風機越しの声は
夏の空にしみいる
幻だった
by fibich
| 2004-08-04 11:11
| 詩