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幻想と日常 ~La Fantazio kaj la Kvotidiano

遍路日記2007(42)

8月8日(八日目)七十二番曼荼羅寺~七十四番甲山寺

香川県の札所は「涅槃の霊場」と呼ばれているくらい、険しい山越や長距離移動はない。特に七十番台になるとそれほどの難所はほとんど無い。八十七番から八十八番までの間に最後の遍路ころがしは存在するものの、それは歩きの人だけの難所である。

七十一番弥谷寺から先はこの八十八カ所のハイライトとも言える七十五番善通寺の周辺の札所だ。最初の七十二番は曼荼羅寺、すでに善通寺もあと数キロという距離にまで近づいている。七十一番からは約4キロ程の道のり。ここまでの道は起伏もそれほど無く本当に「涅槃」という言葉が適するであろう。

田園風景が広がる里の真ん中に山門がある。山門の正面は田圃。去年は何も植えられてなく溜池かとも思ったのだが実際の所は田圃だ。

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七十二番札所曼荼羅寺本堂


山門に近づくと反対側から団体様御一行が曼荼羅寺にゾロゾロと入り込んでくるところだった。マズイ、団体様に襲われる。と思ったときは時すでに遅し。境内は団体様御一行で溢れかえっていた。実は去年このこぢんまりとした境内が好きでちょっとばかり長居をし、当然のことながら好印象だったのだが、今年はよりによって団体様かとちょっとため息。

境内では無人即売で無花果を売っている。去年はそれを買い求めて渇きを癒したのだが今年はそれどころではない。とにかく団体様御一行と一緒はせわしない。それよりも即売所の無花果があれよあれよという間に売れていくのでお参りの前に無花果を買い、それを片手にお参りをした。端から見たら何だろうという恰好だったにちがいない。

境内の作りは山門から真っ直ぐ進んだ奥に本堂。山門と本堂の間に水屋と無人即売所、
そして本堂に左手に大師堂がある、納経所は本堂右側。僕が即売所で無花果を買ったときには団体様御一行は本堂前に集まっていた。本尊は大日如来。かつては境内に弘法手植えの松があったらしいのだが、十年ほど前に枯れてしまったそうだ。典型的な町寺なのだが、非常に落ち着く場所だ。たとえ団体様御一行に襲われてもこの寺は好きだ。しかし団体様御一行と一緒ではこの先の予定が狂ってしまう。

団体様御一行よりも早くお参りを終わらせ、納経所へと向かった。お参りに本来早い遅いなどはないのだが、お経を暗唱できる分やっぱりお参りは早くなる。しかし納経所ではすでに団体様御一行の納経帳や掛け軸が大量に持ち込まれていた。しかし寺の人は僕の順番を先にしてくれた。こうして先に寺を出ることができたのだ。

急いで次の札所七十三番出釈迦寺へ行く。曼荼羅寺から出釈迦寺までの距離は僅か500メートルしかない。急いでバイクを入口の坂の横に止め、早歩きで境内へと向かったのだが境内には団体様御一行どころか遍路は僕一人しかいない有様だった。後で知ったが団体様御一行は先に七十三番を打ち、その後で七十二番を打っていたようだ。

境内にはいると右手奥に本堂、その左隣に大師堂がある。本尊は釈迦如来。曼荼羅寺よりもさらにコンパクトな作り。そして真っ昼間2時半頃だと言うのに僕以外には誰もいなかった。お参りを済ませて納経所へ行くとそこでどこから来たのかという話から始まり、横浜からバイクで来たと答えると寺の人もそれは遠方よりご苦労様と手ぬぐいをお接待してくださった。観音の像が描かれた手ぬぐいだったのだが、今でも勿体なくて開封せずに大事にしまってある。

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七十三番札所出釈迦寺本堂


出釈迦寺は入口のなだらかな坂が特徴なのだが、帰りはその坂を下って行く。坂を下りながら遠くまで望めるのだが、瀬戸大橋が遠くに見える。これまで荒々しい太平洋沿岸をひたすら走り、波穏やかな瀬戸内海沿いに入ったのが昨日か一昨日くらいのことなのでもう瀬戸大橋が見えるのかと少し驚く。

次の七十四番甲山寺は出釈迦寺から約3キロ程の道のり、すっかり善通寺市内に入ったところの川沿いにある。周囲は殺伐とした工業地帯なのだが、そんな中にこの甲山寺はある。雰囲気はいかにも町寺という感じ。しかも今年は改装工事中と言うこともあってそれほどの印象が残らない。駐車場は立派だが今回は入口が違っていた。山門を抜けると正面奥に本堂がある。本尊は薬師如来。そしてその左手の階段を上がったところに大師堂。寺としての造りは非常にコンパクトにできている。

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七十四番札所甲山寺本堂


先にも書いたようにこのお寺は改装工事中だったので来年以降が楽しみでもあるのだが、それにしても今年は改装工事中の寺が多い。明らかに多い。これも八十八カ所巡礼が今空前絶後のブームになっていて羽振りも良くなっているからなのではなかろうかと思う。早々に七十四番を出発すると次はいよいよ八十八カ所中のハイライトでもある七十五番善通寺へと向かう。■

つづく
by fibich | 2007-11-25 15:04 | ライダー日記

詩と写真の日記

by 遊羽(なめタン)
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