2004年 03月 10日
【詩】『石』
ある日気がつけば
身体の一部が石になっていた
固くて冷たく
それがもともと何だったのか
思い出すこともできず
だんだんと広がる
石化の恐怖 渦巻く諦念
恐ろしいほどの
忍び寄る沈静
さすれば石
感覚も温度も
かつての何とも思い出せぬ
石になっていく
最後の抵抗は蟷螂の斧の如く
為す術もなく石は
次々と雑念を払いのけ
頭の中はもはや
どの回路を辿っても
同じ終結を目標点にする
中学時代使ったきりのコンパスで
石に文字を彫る
一日の書蔑ろにして
もはや口の中は
イバラのゝびる場所もなく
コンパスの新しい使い方を知った夜
もう一カ所
石を見つける
このまま石になっていく様を
自分の記憶に照らし続けていくのなら
恐怖も何もかも感じない
完全な石になることを
一日でも早くと望むだけ
それでも石の広がりはわがまゝで
成長してはある程度で止まっていく
石化した部分のかつては何であったかなど
もはや思い出しても
これまた意味のないこと
こうして新しく覚えたコンパスの利用法で
次に彫る文字などを
暢気に考えるゆとりさえできた
最後の抵抗だった石に刻まれた文字は
きっと僕が完全に石になっても
消えないで残る
消えないで消えないで
そこに僕がいたと 証明してくれる
石の恐怖に打ちひしがれつゝ
今日またいつ止まるとも知れぬ思考の全てゞ
言葉を考える
PHOTO:ベルリン
身体の一部が石になっていた
固くて冷たく
それがもともと何だったのか
思い出すこともできず
だんだんと広がる
石化の恐怖 渦巻く諦念
恐ろしいほどの
忍び寄る沈静
さすれば石
感覚も温度も
かつての何とも思い出せぬ
石になっていく
最後の抵抗は蟷螂の斧の如く
為す術もなく石は
次々と雑念を払いのけ
頭の中はもはや
どの回路を辿っても
同じ終結を目標点にする
中学時代使ったきりのコンパスで
石に文字を彫る
一日の書蔑ろにして
もはや口の中は
イバラのゝびる場所もなく
コンパスの新しい使い方を知った夜
もう一カ所
石を見つける
このまま石になっていく様を
自分の記憶に照らし続けていくのなら
恐怖も何もかも感じない
完全な石になることを
一日でも早くと望むだけ
それでも石の広がりはわがまゝで
成長してはある程度で止まっていく
石化した部分のかつては何であったかなど
もはや思い出しても
これまた意味のないこと
こうして新しく覚えたコンパスの利用法で
次に彫る文字などを
暢気に考えるゆとりさえできた
最後の抵抗だった石に刻まれた文字は
きっと僕が完全に石になっても
消えないで残る
消えないで消えないで
そこに僕がいたと 証明してくれる
石の恐怖に打ちひしがれつゝ
今日またいつ止まるとも知れぬ思考の全てゞ
言葉を考える
by fibich
| 2004-03-10 02:34
| 詩