2004年 06月 28日
【詩】『桜桃忌』
まだ草木は露に輝き
ひんやりとした朝の風に
一日の始まりを知る頃
届かなくなった便りだの
見ることのなくなった笑顔だの
いっぺんに思い出しては
時の移ろいを感じる
あの頃ちょっと惹かれていた
気持ちだの思いだの
今になると
とても珍しい感覚に思える
若かった頃と同じようなときめきが
まだ何処かに残っていたのも
わずかの時間の間に
埋もれて消えていった
一途な夢は時に罪なほど
僕を行き場のないところへ追いつめる
目覚め始めた朝の空気に
否応なしに夏の訪れを知る
この夏もまた 一人きり
行方知れずの夢ばかりが
まだかまだかと
背中で呼びかけています
気づかぬふりをした僕は
目の前の夏から
目をそらしていました
今日も良い天気になりそうな
桜桃忌の朝
画像提供:くうさん
by fibich
| 2004-06-28 02:54
| 詩