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幻想と日常 ~La Fantazio kaj la Kvotidiano

高野山旅行記(2)

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今回は宿坊、恵光院について書きます。

高野山にはホテルと言ったものはなく、100以上もある寺院の半数近くが
宿坊を持っています。しかし四国霊場の宿坊と違って割高。今回は
楽天トラベル(以前は「旅の窓口」)で検索して予約しました。

しかし寺の宿坊は快適に宿泊できるわけでもなく、それは泊まった人の
心持ち次第であります。僕は快適に過ごせたと思いますが、人によっては
寒くてやってられないと感じる人もいると思います。なにせお寺です、
すきま風だって入り放題。暖房はコタツとファンヒーターしかなく、
寒いからと言ってファンヒーターをつけっぱなしにしているとすぐ
部屋の中の空気が悪くなります。換気をすれば一気に部屋の温度は下がり
ます。僕が泊まった日の晩、部屋の外の廊下の気温は2度しかありません
でした。

高野山旅行記(2)_a0004070_15131377.jpg


夕方4時過ぎに恵光院に戻り、4時半から阿字観(座禅)が行われます。
宿坊にこの日泊まったのは僕だけだったらしく、奥の堂へ通されても
僕一人しかいませんでした。なぜ座禅を阿字観と言うのかというと、
お堂の奥に満月の絵の中に梵字で阿と書かれたものがあり、梵字の阿の字は
すべての始まりと真言宗では考えられ、それを見つめ考える
事が大切なのだと言うことらしいです。

座禅と言っても普通にあぐらをかいて(右足は左足の上に乗せる)
そして手を組んで半眼で座るだけで、特に坊主に棒でバシバシ
叩かれるわけではありませんが、呼吸法だの半眼だの、さらには
呼吸の方法が実は途中から変わっていくことまでいろいろと
教えてもらいました。何よりもひんやりとしたお堂の中で
深く呼吸していると体の中の悪いものが出て行くようにも思えます。
しかし前日晩から鈍行列車でやって来たために途中で眠くなってしまい
半眼を保たなければいけないのに目を閉じてうとうとしてしまいました。

もう一つ写経も行いましたが、これは普通に紙と筆ペンを渡され、
翌朝までに仕上げてくださいというだけのものでした。実は巡礼が
終わってから写経は日課にしており、ここで写経をしても特別な
経験になったというわけでもありません。せっかくなので写経は
奉納せず持ち帰ることにしました。ただ正式に写経をする場合は
般若心経を書き写すだけでなく、願文や弘法の真言(南無大師遍照金剛)
なども書き加えます。まあこのあたり遍路経験者です。弘法の真言を
知らぬ遍路はいません。(一寺で6回唱えます、都合528回唱えます)

次はいよいよ宿坊名物精進料理です。高野山の宿坊は先にも書いたように
割高ではありますが、ちゃんと2食ついています。それも見事な精進料理。
写真でご覧になっても美味しそうですが、実際に食べた感想は本当に
美味しかった。冬の高野山という事もあり、料理は少々冷めてしまって
ましたが、冷たくなっていたわけではありませんです。これを食べられた
上にいろいろと体験できて宿泊費1万円なら文句はないです。

高野山旅行記(2)_a0004070_1522626.jpg


食事の後は風呂に入りましたが、大風呂はとても気持ちよかったです。
風呂上がりにもう一度外を散歩しようかと思ってたのですが、
そのまま横になって寝込んでしまい、気づけば1時間半ほど寝て
しまいました。

門限は10時だったので一度外に出て自販機で飲み物だけ買って
戻ってきましたが、さすがに寺がメインの町、夜の9時過ぎには
人っ子一人いない有様。通りの店も悉く閉まっていて散歩と
しゃれ込むほどの雰囲気ではありません。その代わりと言っては
なんですが、星がとてもきれいでした。

この日の晩は翌日の予定などをあれこれ考えて11時過ぎくらいまでは
起きていましたが、翌朝も早いので寝ることにしました。

翌朝は5時半に目が覚めましたが、朝のお勤めは7時からでちょっと
早く起きすぎてしまいました。お勤めと言うのはなんでしょう。坊さんが
あさお経を唱える場所に立ち会うだけで、特に説法などを頂けた
わけではありません。とにかくお堂の中が寒くて寒くて目も覚めます。

お勤めの後は護摩炊きの見学もできましたが護摩炊きの方がずっと
見ていて飽きません。と言うか若い僧侶の手さばきにはただただ
目を奪われるだけです。しかし護摩堂はさらに寒くて火を炊いていた
とはいってもその温かさは全く伝わっていません。この日の朝の
高野山は氷点下3度くらいでした。

朝のお勤めが終わると朝食が出ますが、朝食も立派な精進料理で
僕は個人的には宿坊の滞在がとても気に入りました。こういった
経験もあってもいいかと思います。ただ人によってはただただ
苦痛なのかも知れません。

食事を終えると早めにチェックアウトをし、荷物を預かってもらい
久しぶりに遍路姿に身を変えていよいよ奥の院へお参りに出ました。
この為にわざわざ菅笠と金剛杖を持ってきたのでした。

続きは次回。
by fibich | 2006-12-25 15:22 | 旅の話

詩と写真の日記

by 遊羽(なめタン)
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