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幻想と日常 ~La Fantazio kaj la Kvotidiano

牛丼

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およそ2年8ヶ月

アメリカ牛輸入停止に伴い、吉野家の牛丼は発売中止となった

牛丼発売最終日、仕事が終わってから湘南ライフタウンの近くにある店に行った

店の中は牛丼との別れを告げる人でごった返していた

僕は弁当を2つ注文したが、前に並んでいる人が予定を変更して4つも弁当を買った

けれども店の人は残りの具をなんとか集め

申し訳ありませんと言いながら僕の弁当をなんとか1つだけ作ってくれた

そのあと店の人が全員厨房から外に出て

ただいまの弁当をもちまして当店の牛丼の販売をしばらくの間お休みいたします

長らくのご愛顧誠にありがとうございましたと深々と頭を下げた


あれからおよそ2年8ヶ月

半ばあきらめていた牛丼を再び食べることができた

それまでに数回牛丼は復活していたが

お祭り騒ぎに乗せられるのはいやだった


牛丼は僕の生活の中に浸透していた

職場に向かう途中、お弁当を買ったり

夜中、詩を書いているときに小腹が減ると食べに行ったり

長距離ドライブに出て見知らぬ町で空腹を満たしたり

実に僕の生活の中に浸透していた

その頃、特に吉野家に固執していたわけではない

松屋、すき家などどの店でも牛丼を食べていた

吉野家が牛丼を出さなくなってから、他店の牛丼は急速にまずくなっていった

最大手が主力商品を欠いたところで慢心していたのだろう

いつしか僕の生活から牛丼は消えていった


そしておよそ2年8ヶ月

まだ期間限定発売ではあるが

吉野家の牛丼が帰ってきた

僕は何とか、間に合った

けれどもこの牛丼を待ち望みながらも

間に合わなかった人もいる

僕は今日 そんな人たちの事も考えながら

一口一口かみしめるように この牛丼をいただきました

人の生活に深く浸透していたこの牛丼の

行く末が再び穏やかでありますよう

もう二度と楽しみにしている人の前から

消えてなくならぬよう

たかが一杯の牛丼に これだけ感慨深くなるのはなぜだろう

けれども祈らずにはいられませんでした
by fibich | 2006-10-01 19:30 | 日常の話

詩と写真の日記

by 遊羽(なめタン)
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