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幻想と日常 ~La Fantazio kaj la Kvotidiano

【詩】『林檎の花』

【詩】『林檎の花』_a0004070_22110.jpg
何処かに行きたい
林檎の花が咲いてる
暖かいところなら
何処へでも行く


この歌を歌ったシンガー 村下孝三は
数年前若くして
この世を去ってしまった

佳人薄命と人は言う
僕も彼のことを考えると
本当にそうなんだなと
つくづく思うのです

緩やかな坂道を下ると
とたんに目の前は開け
辺り一面に
林檎の花が咲いていました
北国の遅い春は
他の場所からすでにやって来た
春の便りを意識しすぎて
やがてすぐ暖かくなるにもかかわらず
今すぐにでも
もっと暖かい場所へと
行きたくなってしまう
そんな時期でもあります

遠くの山並みに雪はまだ残り
さえ渡った空にはまだ
燕の姿は見えないけれど
春はそろそろやって来るのだと
林檎の花は
そっと教えてくれました

暖かい場所からやって来た僕は
しばし花盛りの林檎の畑を眺めながら
終わらぬ冬はないのだと
改めて知りました


村下孝三の歌は
時代が変わっても色あせぬ
古くさゝを全く感じない
どこか普遍的なものを
持ち続けています
「踊り子」という歌を聴いて涙した
そんな時代はとうに過ぎ去ってしまっても
未だこの歌は聴くたびに
僕の心を揺すり動かします
それはきっと
日本人なら生まれる前から持ち合わせている
敏感な季節に対する感情と
強く堅く
繋がっているからなのでしょう


画像提供:くうさん

by fibich | 2004-06-06 22:12 |

詩と写真の日記

by 遊羽(なめタン)
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