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幻想と日常 ~La Fantazio kaj la Kvotidiano

【詩】『故障した人』

その人は「故障した人」
その人の口から 言葉は出ない
その人の顔から 表情は消えた
その人の過去も その人の経緯も
誰も知る由もない 故障した人

その人が見つめている物に深い意味はない
その人が求めている物など 誰も知らない
たゞそこにいるだけの 故障した人
その人の手から 何も作られず
その人の背中から 何も語られない

「故障した人」は今日も外を見つめている
誰の目にも故障した人でも
心だけは失われていない
けれどもそれを知る人は誰もいない
それを伝える術は何もない

その人は「故障した人」
誰が名付けたか「故障した人」
他人に何かを伝える事をやめてしまったゞけの
それ以上でも以下でもない
故障した人
by fibich | 2004-05-04 18:08 |

詩と写真の日記

by 遊羽(なめタン)
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