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幻想と日常 ~La Fantazio kaj la Kvotidiano

キャシャーンと都々逸の話

今週末公開になる「キャシャーン」
ちょっと話題になってますね、見てみたいなと思ってたりします。
このキャシャーンってのは若い世代の人は知らない人もいると思いますが
元は竜の子プロダクションのアニメでした。竜の子プロというと「ガッチャマン」を
筆頭に「タイムボカン」シリーズや「ハクション大魔王」など名作を数多く
手がけてきた老舗でもあります。そのなかで「キャシャーン」は異色の
存在とでも言いましょうか、かなりヘビーな内容でお子ちゃまには到底理解
できないような内容でありました。

冒頭のナレーションは名ぜりふでもあります。

たった一つの命を捨てて
生まれ変わった不死身の体
鉄の悪魔を叩いて砕く
キャシャーンがやらねば
誰がやる


現在映画のCMでも使われているこの名台詞、よく見ると非常に和文の香り
漂っています。といいますのもこの台詞、見事に都々逸調なんです。

都々逸というのは7,7,7,5調で小粋な歌や風刺的な内容を含んだ歌などに
用いられる日本古来の詩のスタイルです。そしてこの「7,7,7」あたりには
実は規則があります。それは必ず最初の7が「3+4」ならば次の7は「4+3」に
なるということです。この台詞ですと…

たった + ひとつの … 3+4
いのちを + すてて … 4+3


と、気持ちいいくらいこのパターンに当てはまっています。厳密に言えば
都々逸が「7,7,7,5」に対してこの台詞は「7,7,7,7,7,7,7,5」
なので都々逸とは言えないのですが、無理に都々逸と言わなくても
都々逸調であることは今の説明でもわかります。
続きの部分もよく見ると…

うまれ + かわった … 3+4
ふじみの + からだ … 4+3
てつの + あくまを … 3+4
たたいて + くだく … 4+3
キャシャーンが + やらねば … 4(字余り) + 4
だれがやる … 5(シメ)


となっていることに気づきます。

この名台詞は徹底された都々逸調でピシッときまっているからこそ
「誰がやる」でしめてかっこよさを引き立たせているのです。

「キャシャーンがやらねば誰がやる」のあたりなんて今聞いてもしびれますね。

この映画、宇多田ヒカルのダンナの… 誰でしたっけ(^_^; その方の
監督、テーマ曲は宇多田ヒカルが歌ってます。まさにこういうのを
夫唱婦随っていうのでしょうね。しかしキャシャーンのアニメがオンエアされていた
頃ってまだ宇多田は生まれてないような気もしますが… 
by fibich | 2004-04-21 15:40 | 日常の話

詩と写真の日記

by 遊羽(なめタン)
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