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幻想と日常 ~La Fantazio kaj la Kvotidiano

【詩】『ユウスケくん』

土砂降りの雨の中
傘の下で突っ立っていた
ユウスケくん
君の姿を見たのは
あれが最後でした
お別れにシャープペンの替え芯を渡して
元気でねと声をかけた
ユウスケくんは
もう遠い遠い場所へと
引っ越して行ってしまった
もっと良いものをあげれば良かった
もっと声をかけてあげれば良かった
けれどもユウスケくんはもう
遠い遠い場所へと
引っ越して行ってしまった

子供の頃
何人もの友達を見送っては
部屋の中で一人泣いていた
あの頃の記憶のほろ苦さを
土砂降りの雨の中で
久しぶりに思い出した
傘の下のユウスケくん
僕のことなんて
すぐに忘れちゃうだろうけど
いつか君が大人になるとき
きっと同じような思い出を
経験するに違いない
見送る者の心寂しさや
やるせなさ いっぱい
いつか君が大人になるとき
もう僕はいなくなったとしても
きっと同じような雨が降るたび
誰を思い出す出もなく
胸が締め付けられる
そんな気持ちがわかったら
ねえ キミの未来は
やっぱり悲しみや苦しみを乗り越えて
初めて目の前に開くんだと思う

僕のことなんて
すぐに忘れちゃうだろうけど
あの日土砂降りの中
傘をさして立っていた
寂しかった時のことは
いつまでも忘れないで
傘の下のユウスケくん
by fibich | 2005-04-07 20:36 |

詩と写真の日記

by 遊羽(なめタン)
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