2005年 02月 16日
【詩】『紐育』
紐育で私が見た物は
この国の病める影の下で
大都会にすむ穫るに足らぬプライドと
すぐに他人と自分を区別したがる
嫌らしい人間の姿ばかりでした
大きな街です
胸躍る昂奮を充たしてくれます
しかしその一方で
どうしても受けいれられぬ物がたくさんありました
そんな紐育があの時以来
愛おしくて心配でなりません
それでもあの街は今日も
人々の嘆き 哀しみ
歓びと笑い 涙と不安
何もかも一つの掌に掬って
明日というつかみ所のない希望へと
人々を連れ去っていくのでしょう
私が見た紐育は
美しき夜景の上に身を横たえた
妖しいほどに人々を巻きこんだ
大きな姿でもありました
by fibich
| 2005-02-16 23:42
| 詩